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(>>1のつづき)
東映アニメーションで45年間、作画現場を担当してきた専務取締役の吉岡修氏(69)も
制作現場に危機感を抱く。「30年前は、30分のテレビアニメは週8~10本だったが、今では
103本前後。しかし、アニメーターの数は3500~4000人で増えていない」。当然、着色
などの作画作業の多くは中国や韓国、フィリピンに外注する。「かつては、動画を5~7年
経験してから原画を担当した。ラフ画を清書するだけの動画と違い、原画は核の部分。
映画でいえば俳優だ。いまのような分業体制を続けていれば、原画を描ける人材が
育たない」と吉岡氏は懸念する。
日本動画協会は経産省の支援を受けて昨秋から、原画マン育成を目指した「アニメーター
養成プロジェクト」を始めた。150人近い申込者のうち、試験を突破した15人が昨年11月末
から動画と原画の講座を受け、このうち11人が、制作会社7社でインターン実習を行った。
1月末から手塚プロダクションでの実習に通う専門学校生の高倉香恵さん(23)は、振り向く、
歩く、走るといった基本動作の動画作りから始め、自分で動きを創作する演習に進んだ。
大きな玉の上でバランスを崩し今にも落ちそうなピエロの原画と、地面に倒れている2枚の
原画が示され、「この間を自分で作ってごらん」と指導に当たる作画監督の瀬谷新二氏(47)
から課題を与えられた。
「難しい課題だが、才能のある人は経験がなくても何とかする。ある程度の資質をもって
くれないと、教えても無駄になることが多い。特殊な才能を要求する仕事ですから」という
瀬谷氏は、一心不乱にピエロを描く高倉さんの筆先を見つめる。
瀬谷氏は「アニメ業界は、専門学校から卒業生を受け入れるだけだった。今回は原画が
描ける人ということで敷居が高かったが、何人かは戦力として生き残れそうだ。業界が踏み
込んだことはよかった」と手応えを感じている。
「クリエーター大国の実現」。政府がデジタルコンテンツ振興のために掲げた3つの基本
目標のひとつだ。官民で取り組み始めた土台作りは、実を結ぶだろうか。(以上、一部略)