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★慰安婦問題―国家の品格が問われる
旧日本軍の慰安婦について、「官憲が家に押し入って連れて行くという強制性はなかった」などと述べた
安倍首相の発言の余波が収まらない。
米国のニューヨーク・タイムズ紙は1面で「否認が元慰安婦の古傷を開いた」として、元慰安婦たちの
生々しい証言を伝えた。米連邦議会下院では、日本に対して公式謝罪を求める決議案が採択に向けて勢いを
増している。
一方、国内では慰安婦への謝罪と反省を表明した93年の河野官房長官談話に対し、自民党の議員らが
事実関係の再調査を首相に求めた。メディアの一部にも、これに同調する向きがあり、国内外で炎に油を
注ぎ合う事態になっている。
何とも情けないことだ。いま大切なのは、問題は何が幹で何が枝葉なのか、という見極めである。
首相発言の内容は、河野談話が出されて以来、それを批判する人たちが繰り返し持ち出す論理と似ている。
業者がやったことで、日本軍がさらっていったわけではない。だから国家の責任はない、というのが批判派
の考えだ。
今回、一部のメディアが「問題の核心は、官憲による『強制連行』があったかどうかだ」と主張したのも、
それに相通じるものだろう。
しかし、そうした議論の立て方そのものが、問題の本質から目をそらそうとしていないか。
(中略)
安倍首相は河野談話を受け継ぐと繰り返し、「これ以上の議論は非生産的だ」と語る場面が増えた。だが、
首相が火種となった日本への疑問と不信は、自らが消す努力をするしかない。
日本は北朝鮮による拉致を人権侵害と国際社会に訴えている。その一方で、自らの過去の人権侵害に目を
ふさいでいては説得力も乏しくなろう。
■ソース(朝日新聞)(中略部分はソースで)
URLリンク(www.asahi.com)