07/03/09 09:41:26 0
本紙の朝刊漫画『ほのぼの君』が、作者佃公彦さん(77)の体調不良のため、降板となった
▼途中七年間の休載をはさんで通算四十四年、一万五千四百五十一回、半世紀を超えた連載は、
日本の新聞界では最長記録だ。世界でも五十年続いた米国のチャールズ・シュルツ氏の『スヌー
ピー』に匹敵する。
▼「最近は昔のようにアイデアが出てこなくて、毎日、剣が峰に立たされている心境。一本描き
終えると、鶴の恩返しのようにぐったりして。今はホッとしたような」が擱筆(かくひつ)の弁。
直腸がんや腹部大動脈瘤(りゅう)など、何度も大病を乗り越えてきたのに、昨年発症したパー
キンソン病でついにペンが持てなくなった。
▼ 降板と聞いて「そうか、トキジロウもめがねを掛けるようになっていたものね」と勘違いした
ファンがいたが、めがねの犬は、考える老犬ロダンのほう。ほのぼの君と仲間のちびっこ紳士たちは、
永遠に年を取らなかった。
▼連載一万回の節目で佃さんは吉川英治氏の『親鸞』の一節「その無窮にして無限の時の流れから
見ると、人の一生などは電光(いなづま)のような瞬間」を引きながら、「要するに、みんなケンカ
しないで仲良くやろうじゃないか」というのがテーマ。「これからも、人を愛し花をいつくしみ、
小さな虫に心を寄せる、そんな気持ちで描き続ける」と語っていた。
▼外務大臣が週に二十冊も漫画雑誌を愛読、いまや世界に冠たる“漫画大国”で、佃さんのほのぼの君
は「人間も自然の一部、特別な生き物じゃない」というこころの“メートル原器”として記憶されて
いくだろう。
■ソース(東京新聞)
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)