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★多重債務者:過払い金を国保料に 滞納減目指し 厚労省
多重債務で国民健康保険(国保)の保険料を払えなくなった人を対象に、厚生労働省は07年度から
弁護士会と連携して貸金業者から利息の過払い金を取り戻し、滞納分の支払いに充てる取り組みを
始める。滞納で保険証を取り上げられたため診療をためらって死亡する人も出ており、多重債務者の
救済とともに、国保滞納世帯を減らすのが目的だ。初年度は全国10都道府県でのモデル事業を実施
する方針という。
取り組みを要望していた日弁連によると、多重債務者の大半が生活に困窮して最初に支払いを滞ら
せるのは保険料や税金で、取り立ての厳しい貸金業者には最後まで返済を続ける。返済が長期に
わたると、民事上払う必要のない過払い金が生じているケースが多い。
モデル事業では、市町村の徴収担当者から通知を受けた滞納者に多重債務があると分かった場合、
都道府県の国保連合会が任命した相談員を市町村に派遣し、無料で相談に応じる。過払い金があると
判明すれば各地の弁護士会に連絡し、貸金業者からの返還手続きを進める。回収した過払い金は
弁護士費用、滞納額を差し引き、本人に返還する。相談員には弁護士のほか司法書士や金融関係の
専門家などを想定している。
同省によると、国保の加入世帯数は05年度で2490万世帯。うち滞納は470万世帯で18.9%に
のぼり、滞納額は3625億円に達している。診療をあきらめ、病状が悪化したり死亡するケースも相次ぎ、
島根県では2年前、高血圧の男性(67)が、くも膜下出血で亡くなった。この男性はその後約1500万円
が過払いになっていたことが分かった。
日弁連消費者委員会の滝康暢弁護士(愛知県弁護士会)は「自分が担当したものだけでも、この
3年間で過払い金を取り戻した18人が計1600万円の保険料や年金の滞納分を支払えた。保険料が
払えなくなって病院に行けない人の相当数が多重債務者とみられるため、今回の取り組みが広がれば
多くの人の健康を守れる」と期待する。(>>2以降に続きます)
毎日新聞 2007年2月9日 3時00分
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