07/01/08 14:23:33 0
日本人のいわゆる自虐史観を代表する最たるものはおそらく日韓併合
と満州事変による中国への「侵略」の2つである。
そうした自虐病に効く特効薬のようなものが本書といえる。誰もが耳に
してはいても読んだことのない「リットン報告書」の全訳が刊行されたこと
は誤った歴史認識という喉(のど)に刺さった自虐の小骨を取り去る手助け
にもなるだろう。
(中略)
わが国の歴史教科書などはさしずめケナンに先を越されてきた感がある。
実は、リットン報告書が1933(昭和8)年2月、国際連盟に承認される
一方でその後日本が連盟を脱退したため経緯が多少複雑になった。
リットン報告書といえば日本の「満州侵略」を世界がこぞって非難したか
の印象がもたれている。だが、英国人リットン卿は満州における日本の
立場を相当程度認めていたことが本書から実によく分かる。
「シナは北京と広東にまったく異なった政府をもち、奥地の交通・通信を
しばしば妨害する多くの匪賊のために混乱し…こうした状態はシナと接触
するあらゆる国に不利な影響を及ぼし…シナはつねに世界平和の脅威
であり…日本はシナに一番近い国で、またシナは最大の顧客だから
日本は本章で述べたような無法状態によってどこの国より苦しんでいる」
(1章)
圧巻は3章である。「日本人にとって対露戦争とはロシアの侵略の脅威
に対する自衛戦争…しかも満州における日本の権益の源泉は、日露戦争
の10年前に発している」と日本の立場を正確に記している。また、日韓併合
をcolonization(植民地化)でなくannexation(併合)とし、植民地見解を
否定している点も見逃せない。ただ残念なことは報告書が満州はシナの
一部であるという誤認をした点である。
本書刊行の作業に取り組んだ渡部昇一氏の慧眼に敬服する。
ソース(イザ!・ノンフィクション作家・工藤美代子氏)
URLリンク(www.iza.ne.jp)