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★成人の日
ゲーム漬けで大脳の機能が低下するという「脳内汚染」。インターネットの掲示板に
過激な主張を書き込む「ネット右翼」。現実に背を向けたがる若者たちを、負のイメージで
とらえた言葉があふれている。そんなに目くじらを立てても、仕方なかろう
▲親たちの世代だって、テレビや漫画にどっぷりひたって育った。社会に出る時期には
「いまの若い連中はつかみどころがない」と慨嘆されたではないか。大量退職期を迎えて
「蓄積した知恵と技術を伝承しなければ」などと持ち上げられると、なんだか面はゆい
▲終身雇用・年功序列の時代だから、世間知らずを受け入れて、育てるゆとりがあったの
だろう。いまは雇用者の3人に1人がアルバイトや派遣社員などの非正規社員で占められ、
所得格差が広がっている。若い労働力を安価に消費する社会から逃避したい気持ちは、
だれにも責められない
▲きょうは成人の日。あまり暗い話題はふさわしくないが、若者だけでなく、すべての世代が、
厳しい実態を直視してほしい。夢を持てとか、やる気を出せとか、掛け声だけで済む問題では
ないのだ
▲国はようやく、労働者間の格差解消や待遇改善に取り組み始めた。派遣・契約社員の
正社員化を進める企業も出てきた。厚生労働省の調査では、採用時にフリーター経験を
キャリアとして認めないだけでなく、マイナスに評価する企業が約3割に達する。こんな
細かいところでも、ハードルを少し下げてやる工夫はできないか
▲「若者よ人生こんなに楽しいぞ」(青空太子)。本紙万能川柳で見かけた一句に、思わず
ひざをたたく。いまの若者たちが老境を迎えた時、来し方を満足して振り返ることができる
よう、社会の仕組みを整えねばと、切に思う。
毎日新聞 2007年1月8日 0時10分 ※リンク先移動の場合あります
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