07/01/04 10:44:13 0
防衛庁が9日付で「省」に昇格する。1954年に防衛庁と自衛隊が発足して以来の
大きな転機である。
軍部が政治をねじ曲げた戦前の反省から、戦後日本は自衛隊に厳しい制約を課し、
普通の軍隊とは明確な一線を引いてきた。防衛を担当する役所を「庁」としたのも、
軍事に抑制的な姿勢を内外に示す狙いだった。
初代の防衛大臣になる久間章生・防衛庁長官は「専守防衛や海外派兵の禁止など、
防衛政策の基本は変えない」と語っている。その言葉通り、戦後の日本が守り続けて
いる平和主義の根幹が揺らぐことのないよう望みたい。
気がかりなのは、憲法改正とのかかわりである。
安倍内閣は憲法改正を公約に掲げている。その土台となる自民党の新憲法草案は、
「自衛軍」を持つと明記している。自衛隊や防衛政策を縛っているさまざまな制約を
取り払い、「普通の軍隊」に近づけようというのだろう。
だが、そのことが本当に日本の国益につながるのか疑問だ。
自衛隊が国民や国際社会から受け入れられてきたのは、専守防衛の原則から逸脱しな
かったことに加え、災害派遣などで地道な実績を積み重ねてきたからだ。海外でも、
武力行使をしないという原則のもとで活動を続けてきた。
憲法9条のもとで、普通の軍隊とは性格の違う実力組織を持ち、自国の防衛や世界
への貢献に使う。そうした自衛隊のありようは今後も変えてはならない。
省への昇格で、自衛隊員たちは自らの仕事にいっそうの誇りが持てる。防衛庁はそう
説明してきた。ならば同時に、戦後日本が築いてきた自衛隊のありようについても、
誇りをもって内外に主張してもらいたいと思う。
(続く)
■ソース(朝日新聞)
URLリンク(www.asahi.com)