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■見ず知らずのユーザーをネットで協力させる工夫
人数を限定したオンラインゲームはゲーム設計上、常に難しい課題を抱える。見ず知らずの
人間同士が、インターネット上で突然集まって、同じチームとして協力的にゲームを遊ぶことが
できるのだろうかという問題だ。多くのユーザーは同じチームに属していても、直接知っている
友だちでない限り、結局は一人で遊んでいるような個人プレーをすることが多くなってしまうからだ。
これに対して、大きく成功したのが一人称シューティングゲームの「カウンターストライク」だ。
3分あまりの対戦の結果チームが勝つとお金が貰え、そのお金でその回の任意に設定されている
武器を買えるというルールが成功を引き出した。
お金が貯まると当然強力な武器が使えるようになるため、まったく見ず知らずのユーザーと
遊んでいても、自分たちのチームを勝たせたいというモチベーションが発生する。上手い
プレーヤーは、初心者のプレーヤーが見落としがちな部分をサポートするように、自然に
行動するようになるという、おもしろい特性を生みだすようになった。
その仕組みは、同じくスウェーデンの開発会社Digital Illusions CEの「バトルフィールド」
シリーズに応用される。ちなみに、スウェーデンのゲーム会社は数は少ないのだが、世界的な
ヒットを出す企業が2社もあり、なかなか侮れない。
■チームプレーを引き出す新たな仕組み
World in Conflictの話に戻る。このゲームはまさに、新しい可能性空間の創出に成功した
ゲームである。
今年7月の「E3」にあわせて、最終的な設定調整のためにオープンベータサービスが3週間
行われたのだが、まさにユーザーがゲームと共に成長していくプロセスを肌で感じられ、
楽しいとしか言いようがない体験だった。
World in Conflictは、リアルタイム戦略ゲームにも自然発生的なチームプレーの要素を
組み込めないかという設計思想で作られている。基本的にチェスを連想させる陣地取りゲームで
あり、マップの中の特定の拠点を決められた時間占領し続ければ、勝ちというゲームである。
しかし、ゲームに参加するユーザーは、歩兵、戦車、ヘリ、支援火器の4種類の役職の中から、
どれか一つしか選択することができず、それぞれの役職はじゃんけんのように強い弱いの
関係があり、バランスよくメンバーが別れていなければ勝つことができない。そのため、上手い
プレーヤーは、下手なプレーヤーの動きを予測し、それを補助しながら戦うことが強制される
ような仕組みになっている。
ベータ期間中は、2つのマップを交互にプレーする設定になっており、各ゲームは1回10分程度で
決着がつく。興味深かったのは、ユーザーがまずゲームシステムを学習し、次に基本的な戦略を
学習し、さらにその応用を考え、必勝法らしきものができあがると、その必勝法の攻略法が
編み出されるというサイクルが拡大を続けたということだ。
ユーザーコミュニティーのゲームへの学習曲線が手に取るようにわかり、また数日のうちに劇的に
変化していく。どこまでゲームとしての広がりがあるのか、可能性空間の幅が想像できない
ゲーム体験の醍醐味はやはり素晴らしい。