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テレビゲーム開発者向けの技術者会議「CEDEC」(CESAディベロッパーズ・カンファレンス)が、
過去最大となる約1900人の参加者を数えて、9月27日に終了した。筆者もファミコン時代からの
ベテランクリエーターのサイトウ・アキヒロ・立命館大教授とラウンドテーブルの司会を担当した。
テーマは「テレビゲームのユーザー・インターフェースの特性と可能性」についてだ。ユーザー・
インターフェースとは、プレーヤーとゲーム世界を結ぶさまざまな仕組みのこと。コントローラー
やテレビモニターといったデバイスから、ゲーム画面のデザインやゲーム構造に至るまで幅広
い要素を含んでおり、テレビゲームの面白さを大きく左右する概念である。ニンテンドーDSやWii
の大ヒットで、改めてユーザー・インターフェースに注目が集まっていることに、気づいている人
も多いだろう。
ラウンドテーブルでもWiiやDSの技術的課題に話題が集中するかと思ったが、実際にはRPGの
メニュー画面や、直感的なユーザー・インターフェースの開発技法など、プレイステーション3や
Xbox360にも共通する、基本的なテクニックに関する議論が盛り上がった。
新世代機の登場と共に、一見すると華やかで、高度なゲーム表現が可能になってきたように
見えるが、それだけに開発現場では、いかにユーザーにストレスなくゲームを楽しんでもらうか、
苦心している様がうかがえた。
中でも議論をリードしたのが、バンダイナムコゲームスとスクウェア・エニックスの開発者だった。
バンダイナムコゲームスの「エースコンバット」チームでは、数年前からユーザー・インターフェー
スの開発に、フラッシュと呼ばれる簡易言語を導入し、実際に操作できるデザイン見本を作成して、
開発の効率化を図っているという事例が語られた。スクウェア・エニックスではRPGの開発チーム
に、専門のユーザー・インターフェース・デザイナーを配置して、複雑なゲーム内容でも、より直感
的にプレーできるように工夫しているという。
こうした現場の生の声に対して、みな熱心にメモを取っていた。
個人的には、総勢32人の出席者のうち、プログラマー・デザイナー・プランナーという、ゲーム開発
でメーンとなる職種の割合が、ほぼ3分1ずつだったことに驚かされた。CEDECではプログラム技術
やグラフィック技術など、職種別のセッションがほとんどだが、テレビゲームは個々の技術が一体
となって新しい遊びを生み出す「総合芸術」だ。
どんなに個々の要素が優れていても、全体のバランスが悪かったり、ユーザーに面白さが伝わら
なければ意味がない。それだけにユーザー・インターフェースの開発が、ゲーム開発を象徴して
いることに改めて気づかされた。
DSやWii以外にも、PCのオンラインゲームやカジュアルゲーム、携帯電話向けのゲームなど、
ゲームプラットフォームはどんどん拡大している。今年は時間の都合上、各論に踏み込むことは
できなかったが、また機会があれば、こうした議論を続けていきたい。もっともラウンドテーブルは
出席者が互いに討論をして、知識を深めていく場だ。
その際はぜひ、一人でも多くの方々にご参加いただけるよう、重ねてお願いを申し上げたい。
毎日.jp
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