07/04/15 18:14:46
米インディアナ州の地元ニュースサイト“Indystar.com”が伝えるところによると、
米教育省は「教育ソフトは生徒の学力を大きく向上させるものではない」との
報告書を発表したということだ。
同サイトによれば、米国ではブッシュ大統領が署名した「落ちこぼれを作らない
ための初等中等教育法」のもと、学校が教育ソフトを採用する動きが加速。
市場成長に拍車がかかり、現在は年間20億ドルもの規模になっている。特に、
学力の低い学校では手っ取り早くテストの成績を上げる手段として期待を集めたが、
一方でその効果に疑問の声が上がったり、ソフトの採用をめぐって贈収賄
スキャンダルが起きたりしているという(なお、ここでいう教育ソフトとは、ビデオ
ゲームと遜色ない出来のものから、ドリル形式のものまでを含む)。
今回、教育省が出した報告書は、教育法更新の是非を討議するための
判断材料として用意されたもので、2004年から翌年にかけて、読解と算数(数学)の
分野における15タイトルのソフトと、全米132校、9,424人の生徒を対象とした調査の
結果をまとめている。それによると、新教育プログラムが施行されたケースと施行
されなかったケースで、標準テストの成績を比較した結果、大きな違いは見られ
なかったという。教育省は「今日の教育技術が、本来の効果を発揮するべく利用
されていないのではないかと懸念している」と声明を出している。
この調査結果に対し、教育ソフトの関係者も言いたいことがあるようだ。
米国ソフトウエア&情報産業協会(SIIA)のMark Schneiderman氏は「問題の大半は、
教育現場で教師の訓練とプログラムの施行体制が行き届いていないことに帰する。
政府の調査ほど大規模で徹底してはいないが、“成果あり”との結果が出た調査もある」
と述べている。また、ミシガン大学で教育工学を専門とするElliot Soloway教授も、
「学校が教育ソフトの導入を取りやめたら、一番迷惑をこうむるのは貧困層の
子供たちだ」とコメント。「教師の訓練体制を改善し、あと1年以上待ってから成果を
見るべき」と訴えている。
(中島理彦)
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