07/08/06 13:31:02 bfI4H1hc
ぶっ・・・アレは私が中学生の頃だった・・・。
夏の暑い日。確か夏休みだったと思う。午前から外で走り回り、
遊びつかれた私は昼ごはんを食べるとそのまま居間で横になり寝入ってしまった。
外は蝉の鳴き声がうるさいくらい聞こえていた。
1時間経っただろうか、私は誰かに呼ばれるような声で目を覚ました。
目を開け、あたりを見渡す。誰もいない。いや、いないはずである。夏休みとはいえ平日。
家に私以外はいないのは当たり前である。
・・・。
また、聞こえた気がした。私の名前を呼ぶ声。母の声とも違う。
○○○。
今度ははっきりと聞こえた。私を呼ぶ声だ。女性の声・・・。
○○○。
私は声の聞こえるほうへと向かった。今思えばこのとき恐怖というような感情はまったく無かった。
むしろ、呼ばれてそちらのほうへ向かうのは当然と言うような感覚。
私は声のする部屋へと向かう。
声がする部屋に入るが、誰もいない。声は既にしなくなっていた。
私の部屋だ。いつもと変わりない、夏の暑さと蝉の声。いつもと同じ部屋だった。
不意に後ろから声がする。こえの主は母だった。ん。いつの間に帰ってきたんだ?昼休みかな・・・。
○○○ー!暑いからさー!そーめん作ったよー!食べにおいでー。
私は暑さから逃げるかの様にそーめんへ一直線に走る。あー今日は暑い。そーめんでも食べて・・・・・・
私は台所へ入ると足を止めた。母の声の主は母ではなかった。
黒く細長い髪の毛がぐるぐるとからまって、めちゃくちゃに絡まって・・・そんなのが人の形をして立っていた。
私は悲鳴を上げた。男といってもまだまだ中2だ。その得体の知れないものを見た私は悲鳴を上げた。
なんと言ったのかはもう覚えていない。うわーうぎゃーと言ったような悲鳴だったと思う。
その黒いものは持っていたそーめん(?)を投げ捨て、私に飛び掛ってきた。
どちらが正面なのかまったくわからない。ただこちらを見て飛び掛ってきたのだけはわかった。
ドドン!私は床に叩き着けられた。痛みを感じているヒマは無い。必死に振りほどこうともがいている。
気付けば黒いものは3体に増えていた。増えた2体は私の足を片方ずつ鷲掴みにし引っ張る。
上に乗っている黒いものは相変わらず私を押さえつける。2体の黒いものが徐々に黒い大きな穴に入っていく。
その黒い穴に私を引っ張り込む気だ。
私は必死に抵抗した。脚をばたつかせ、腕を振り回し、もがいた。
脚をばたつかせていると、脚を離すことが出来た。瞬時に2体の黒いものを蹴る。
蹴りまくる。生身の人間なら原形を留めないほど蹴りまくる。
勢いに乗って上に乗っていた黒いものも殴り押し倒す。黒い穴に向かって蹴り飛ばす。
私は自由になり黒いもの達を蹴り続けた。やがて黒いもの達は黒い穴に消えていった。
消えていく際に小さくだが確かに、最初に聞いた女性の声で「話が違う」と言った。
私は未だに誰にどういう話を聞いて、何がどう話が違ったのか不思議でしょうがない。
私はまだあの黒いものがあられた部屋に住んでいる。
こんどあいつらが現れたら、蹴りまくったことを謝りたいと思っている。す。