07/09/12 15:28:29
雄のチンパンジーが盗み出したパパイアを発情中の雌に与える行為がアフリカのギニアで
みつかった。雄はその後、交尾したり毛づくろいをしてもらったりすることが多かった。こうした
見返りを期待した「贈り物」を使う行動が、人間以外の霊長類でみつかったのは初めて。
12日付の科学誌プロスワンに発表する。
京都大霊長類研究所の大橋岳(がく)さんと英スターリング大研究員のキムバリー・
ホッキングスさんら日英米ポルトガルの共同研究チームが発見した。1976年から
西アフリカ・ギニアのボッソウ村(人口約3000人)周辺で観察を続けており、野生の
チンパンジーが、パパイア、バナナなどの農作物を盗み出す行為に注目した。
03~05年に786回の農作物荒らしが観察された。自分で食べてしまうことがほとんどだが、
58回は親子間や雄と雌の間などで分け合う特別なケースだった。このうち25回が大人の
雄が大人の雌に与えており、21回でパパイアの実が使われた。雌のほとんどは若くて
出産可能、半数以上が発情中だった。雄が与えた結果、交尾や毛づくろいなどが行われた
場合が多かった。
チンパンジーで食べ物を分け合う行為は、集団で狩猟した動物の肉を食べるという報告が
ある。植物性の食物を分け合うのは、親子間だけしか知られていなかった。
同チームの松沢哲郎・霊長類研究所教授によると、雄は農産物を盗み出す際に人目を
気にして毛を逆立てて体をぼりぼりかくなど極度の緊張状態になる。そうした危険を冒して
手にした食べ物をあえて雌に分け与えることは、交尾などとの交換を期待した「贈り物」を
する行為だとみている。
長谷川寿一・東京大教授(認知行動科学)の話 チンパンジーにとって貴重な食物を社会的な
交換可能な価値として使った珍しい例だ。親子間で分ける場合との違いなどを明確にする
ため、調査を続けてほしい。
ソース:asahi.com
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