07/09/06 21:36:25
Dr.北村 ただ今診察中:第136話 “お口”の落とし穴
口が「第二の性器」と呼ばれているのをご存じですか。唇は皮膚、口腔(こうくう)は
粘膜に覆われ、唾液が流れ出ている。口は上下に裂けていますが、それを縦に
してみると女性器の構造そのものになるのです。
「性器が歩いている」と表現した方もいます。どぎつい口紅などをつけられようものなら、
電車に乗っていても、道を歩いていても興奮のために硬直しっぱなしなどということにも
なりかねません。話す口、食事を摂る口、キスする口。まさか腐った食べ物を好んで
食べる人はいませんが、その口に清潔とは言い切れないペニスが挿入されることに
憧れる男性がいてもちっとも不思議ではありません。それが証拠にAVに必ず登場するのが
フェラチオ(男性性器を口で刺激する行為)です。「そうされることで彼女の愛の強さを感じる」
といった男性がいますが、強要されて悩んでいる女性に対しては「嫌なことは嫌と言っても
いいのだよ。それでも強要する男性がいたらこちらから願い下げよう」とアドバイスすることに
しています。
ところが最近、米国の研究によって、フェラチオと口腔癌には深い関係のあることが
明らかにされました。第102話ではHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)が子宮頸癌の原因として
注目されているとの話を紹介しましたが、このHPVは皮膚や粘膜の存在するカラダの
あらゆる部位に感染することが徐々にわかってきたのです。例えば、口、咽頭、舌、扁桃、
腟、ペニス、肛門など。HPVには80を超える型分類があって、中でも16型と18型が
子宮頸癌の95%以上を占めていると言われています。このタイプのHPVが口腔癌の
危険を増大させるのです。
ジョンズホプキンス大学のモーラ・ギリソン博士は、口腔癌と診断された100人と
健常者の血液と唾液を採取するとともに、性交経験、性交相手の数、オーラルセックスの
経験、HPVに感染したことがあるかどうか、喫煙、飲酒歴などについての比較研究を
行っています。その結果、HPV感染者の口腔癌のリスクは、かつて感染したことがないと
回答した人の32倍、特にHPV16型に感染したことのある人では58倍、喫煙、飲酒経験の
ある人では約3倍と高率でした。性交経験との関連を調べたところ、1~5人のフェラチオ経験を
もつ人では2倍、6人以上では2.5倍もリスクが高くなっていました。
ギリソン博士は「口腔癌のリスク因子にフェラチオによるHPV感染を加える必要がある」と
語っています。また、キスによるHPV感染のリスクについても否定できないとしています。
わが国でも子宮頸癌予防を目的にHPVワクチンの開発が進められていますが、
これは性交経験前の女子に接種することを前提にしているもの。今後は男性に対する
ワクチン接種を真剣に検討する必要がありそうです。私たち自身が当面取り組める
口腔癌予防についてですが、性器結合だけでなくフェラチオでもきちんとコンドームを
使用することを心掛けてください。「ゴム臭がイヤ」という方にはオレンジ味、イチゴ味、
バナナ味のトロピカルコンドームがお勧めです。女性性器を覆うラテックス製シートが
あるってこと、ご存じでしたか?
TITLE:MSN毎日インタラクティブ
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