07/07/24 22:21:04 BE:96592447-2BP(135)
独立行政法人理化学研究所は、アレルギー疾患の発症に関与するインターロイキン-4 (IL-4)
の産生をRunx(ランクス)転写因子が抑制することを発見し、アレルギー疾患発症の新たな分子
メカニズムを解明しました。これは、免疫・アレルギー科学総合研究センター(谷口克センター長)
免疫転写制御研究チームの谷内一郎チームリーダー、直江吉則研究員らによる研究成果です。
免疫反応を調節するヘルパーT細胞には、1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)と2型ヘルパーT細胞
(Th2細胞)という細胞群が存在します。この2つの細胞群は、免疫反応のバランスを保つために
重要で、Th2細胞に偏った免疫反応は、アレルギー疾患の発症に繋がることが知られていました。
特にTh2細胞から産生するインターロイキン-4(IL-4)というサイトカインは、IgEの産生を促進し、
過剰なIL-4の産生はアレルギー疾患を誘発することが知られています。しかし、IL-4の産生を
制御するメカニズム、特に同じT細胞のTh1細胞でなぜIL-4が産生されないかはよくわかっていま
せんでした。
研究チームは、CD4 遺伝子の発現抑制に働くことが知られるRunx転写因子に着目し、遺伝子
操作によりT細胞でRunx 転写因子の機能を破壊したマウスを作製し、このマウスが喘息様の
アレルギー疾患を自然発症することを発見しました。その原因を調べた結果、Runx転写因子が
機能しないT細胞を持つマウスでは、Th1細胞からもIL-4が産生されてしまうため、喘息様のアレル
ギー疾患が発症してしまうことがわかりました。さらに詳しく解析し、Runx転写因子がIL-4遺伝子の
発現を抑制するサイレンサーという領域に直接結合して、Th1細胞でのIL-4の産生を抑制している
メカニズムを発見しました。
今回のアレルギー疾患モデルマウスの樹立とアレルギー疾患の新しい発症機序の解明という
研究成果から、アレルギー疾患の更なる病態解明や新たな治療薬の開発が期待されます。
(以下ソースにて)
理化学研究所プレスリリース
URLリンク(www.riken.go.jp)