07/05/02 07:41:43
IBMアルマデン研究所とアリゾナ大学の研究者による共同研究グループがスーパー
コンピューター「ブルー・ジーン/L(BlueGene/L)」を使ってネズミの大脳皮質による思考
をシミュレートするプログラムの開発に成功していたことが27日、同研究所の発表により
明らかとなった。
IBMのスーパーコンピューター「ブルー・ジーン/L」は米ロスアラモス研究所などで核物理学
の研究用に持ちいれられていることで知られている世界最高速級のスーパーコンピューター。
IBMアルマデン研究所のラジャゴパル・アナンサナラヤナン博士と米アリゾナ大学の
ジェームズ・フライ博士などを中心とする研究グループは、ネズミの思考を司る大脳皮質の
構造を詳しく研究。その上で、独自のリアルタイム・ネズミ大脳皮質シミュレーション(Real-
Time Mouse-Scale Cortical Simulations)というシミュレーション・モデルを用いることで、
スーパーコンピューター内の1TBのメモリー空間に800万ニューロン、 1ニューロンあたり
6300シナプスで構成されたネズミの大脳皮質を再現し、ニューロンによるスパークスを
シミュレートすることに成功した。
研究に用いられたブルー・ジーン/Lはネバダ大学で運用されているもので、合計4096個
プロセッサ(1プロセッサーあたり256MBメモリ)が用いられたモデルとなる。
研究グループはこのプログラムを使って、実際の動物の脳で見られる大脳皮質内での神経
インパルスの流れをシミュレートし、その過程でコンピューター内に再現されたニューロンが
自発的にグループ化することなどを再現することに成功したと述べている。
ただし、このシミュレーターで再現できたニューロンの数は実際のネズミのものよりも少なく、
また、プログラムの実行速度も実際のネズミの脳の約10分の1にしか過ぎないなど、多くの
制約も持っているという。
研究グループでは今後、動作速度の向上を図るなどの改良を加えた上で、大脳皮質内で
ニューロンやシナプスがどのように思考を形成していっているのか、シミュレーターを通じて
解明していきたいと述べている。
(ニュースソース)
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