07/04/30 09:22:38
カエルなどの両生類に壊滅的な被害を与えるという「カエル・ツボカビ症」の原因となる
ツボカビ菌について、放出した遊走子(胞子)をミジンコが食べる可能性があることを、
東邦大理学部(船橋市)の鏡味麻衣子講師らが突き止めた。海外の研究者4人との
共著による研究論文が、英王立協会紀要(18日付電子版)に掲載されている。ただ、確認したのは、
カエルではなくプランクトンに寄生する別の種類のツボカビ菌。ツボカビ症は昨年末に国内への
上陸が確認されたばかりでもあり、研究結果が病気の流行を防ぐ一助になると期待されている。
ツボカビ菌はカビの一種。両生類のほか、プランクトンに寄生するものなど自然界に広く
分布している。両生類の場合、感染すると、皮膚呼吸が困難になるなどの症状を引き起こし
約90%が死に至る。1980年以降、世界の両生類約120種類がツボカビ菌により絶滅したとされ、
国内では昨年12月、都内でペットとして飼育されていたカエルへの感染が確認された。
カエルが絶滅すれば食物連鎖の体系が崩れ、稲作など農業に被害をもたらす可能性が
あることから、環境省が調査に乗り出している。
鏡味講師が、研究員として昨年8月まで勤務したオランダ・王立生態学研究所で、
オランダ人やドイツ人などの同僚4人と4年をかけてまとめた論文などによると、
ツボカビ菌は成長すると遊走子を放出し、次の寄生主にたどり着くまで水中で過ごす。
一方ミジンコは、寄生する前の遊走子段階なら小さいために食べられる。このことから、
仮にある池のカエルに菌が寄生しても、別のカエルに広がる前にミジンコを投入すれば
感染を防ぐことができると推察されるという。
鏡味講師は「田んぼや池に生息するミジンコが大量にいれば、カエル・ツボカビ症は
抑えられるかもしれない」としている。今回実験で用いた菌とカエルに寄生する菌は異なる。
だが、系統的には近く、ミジンコは遊走子であれば菌を食べるとみられることから、
鏡味講師は今後、カエルの研究者らと協力し、野外でのカエル・ツボカビ症調査に取り組んでいく予定だ。
(2007年4月29日 読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
画像:ツボカビ菌(左下)が放出した遊走子を、ミジンコ(右)が食べる様子を示したイメージ図(鏡味講師提供)
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