07/04/01 12:59:14
増体を速めるために牛に与えられる成長促進ホルモンの長期的リスクを探る米国研究チームが、
米国男性の生殖能力が母親の妊娠中の牛肉消費量と関連しているという新たな研究結果を発表した*。
この研究結果は、1988年以来のEUの成長促進ホルモン使用禁止措置の根拠を改めて補強することになりそうだ。
また、エストラジオール、テストステローン、プロゲステローン(以上、天然ステロイド)、ゼラノール、
トレンボローン・アセテート、メレンゲストロール・アセテート(合成ホルモン)
を利用する米国牛肉の安全性を改めて疑わせる。
*S.H. Swan et al,Semen quality of fertile US males in relation to their mothers' beef consumption during pregnancy,
Human Reproduction,published online on March 28, 2007:Abstract
研究チームは、5都市の387人の米国男性の精液のの精子濃度(精液1ml中の精子数)を調査した。
週に7回以上牛肉を食べた母親の子の精子の濃度は、それほど牛肉を食べなかった
母親の子に比べて24.3%小さかった。
また、WHOが妊娠困難(subfertility)とする濃度基準(20 x 106/ml )を
下回る者の比率は、前者が後者の3倍(17.7%対5.7%)に達した。
そして、この濃度は、母親の他の肉の消費や男性自身のいかなる肉の消費とも有意な関連はなかったという。
研究チームは、これらのデータは、母親の牛肉消費、そして牛肉中の外来異物が
子宮中での男性の精巣の発達を変え、その生殖能力に悪影響を与えた可能性があることを示唆すると結論している。
牛肉がどんな化学物質を含むのかに関するデータはなく、農薬や生活スタイルなど他の要因も排除はできない。
従って、牛飼育に使われた成長促進ホルモンが原因とはなお断定はできず、そのためには一層の研究が必要だ。
しかし、研究者は、理論的には胎児や幼児は性ホルモンへの暴露に特に敏感だから、
妊娠中の婦人や幼児による牛肉残留ホルモンの消費には特別の注意を向ける必要があると言う。
■ソース
農業情報研究所(WAPIC)[農業情報研究所(WAPIC)](07.3.28)
URLリンク(www.juno.dti.ne.jp)
■関連ニュース(英文)
・Eat a lot of beef? It may affect your son’s sperm(reuters),MSMBC,3.27
URLリンク(www.msnbc.msn.com)
・Beef diet 'damages sons' sperm',BBC News,,3.27
URLリンク(news.bbc.co.uk)