07/01/22 23:09:02
ニューホライズンズが木星に近づく理由は3つ挙げられる。
もっとも肝心な目的は、スイングバイだ。スイングバイとは、探査機が大きな天体の近くを
通過することで、重力場を利用して軌道を曲げた上、加速(ときには減速)することである。
ニューホライズンズは木星スイングバイによって合わせて秒速4キロメートルの加速を得て、
太陽から秒速23キロメートルで遠ざかるようになる。スイングバイがなければ、
冥王星到達は早くて2018年になってしまうという。
2つ目の目的は、動作確認である。実際に天体へ接近したときに機器は正常に稼働し、
観測装置は予定どおりデータを取得し、地球へ無事に送信できるか。地上でのテストでは
カバーしきれない項目に技術的問題点がないか調べ、必要に応じて調整する。
冥王星到達8年前のゆとりある最終チェックだ。
そして最後の目的は、副次的ではあるが、木星とその衛星を観測することだ。探査機が
木星に接近するのは2003年にガリレオが役目を終えて以来のことで、しかも
ニューホライズンズの次は2016年木星到達予定の探査計画「ジュノー」を待たねばならない。
木星にもっとも近いときで230万キロメートルの距離を通過するニューホライズンズは、
その前後、1月から6月の5か月間で700回におよぶ観測を行う。観測時間と取得する
データの量は、8年後の冥王星探査に匹敵しそうだ。今回の木星探査には決して
「事のついで」と言えないほどの価値があり、ニューホライズンズに搭載された7つの
観測装置にはそれぞれ出番が待っている。