07/01/16 23:19:42 BE:381391875-2BP(4377)
地球温暖化等の環境変化は世界的にもっとも深刻な問題の一つとなっている。環境劣化が
引き起こす農業問題、環境問題を解決するために、特に、乾燥や塩害、急激な温度変化と
いった環境ストレスに強い植物の開発が求められている。
植物科学研究センター機能開発研究グループ(篠崎一雄グループディレクター)、東京
大学農学生命科学研究科(篠崎(山口)和子教授)、国際農林水産業研究センターの研究
グループは、乾燥と高温の両方のストレス耐性の獲得に働く遺伝子群を制御する転写因子
遺伝子の活性化に成功した。これまでに、環境ストレス耐性を向上する転写因子遺伝子は
数種発見されているが、乾燥と高温の両方のストレスに対する耐性を向上する転写因子を
同定したのは今回が始めてのことになる。本研究は、米国アカデミー紀要(PNAS)2006年
12月号に掲載された。
研究グループは、これまでに乾燥ストレス耐性に関与する遺伝子発現を制御する鍵となる
転写因子DRBE2A遺伝子を突き止めている。しかし、植物の中でDREB2A遺伝子の産物である
タンパク質が合成されてもそのままでは機能しないことがわかっていた。
今回の研究では、DREB2Aタンパク質の働きを抑制する領域がこのタンパク質の中央部に
存在すること、そしてこの領域の作用によりDREB2Aタンパク質が分解されることがこの
タンパク質が機能しない原因であることを突き止めた。そこで、DREB2A遺伝子からこの
領域を取り除いた遺伝子をシロイヌナズナに導入したところ、乾燥にも高温にも高い
レベルの耐性を示す植物体を得ることに成功した。
このDREB2A遺伝子を活性型にした植物のゲノム中の遺伝子の働きをマイクロアレイ解析法
で調べた結果、多数の乾燥ストレス耐性に関与する遺伝子だけでなく、ヒートショック
タンパク質等の高温ストレス耐性に関与する遺伝子も強く発現していることが明らかに
なった。これらの遺伝子の働きが強まったため、乾燥と高温の両方の耐性が向上したと
考えられる。
地球温暖化による環境劣化では特に乾燥と高温ストレスの増大が問題になるが、活性型
DREB2A 遺伝子は地球温暖化に対応した作物の開発のための有力な遺伝子として利用される
ことが期待される。
URLリンク(www.psc.riken.go.jp)