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国内最大の風力発電施設として昨年12月にスタートした岩手県の釜石広域ウインドファーム
(定格出力4万2900キロ・ワット)が3か月運転しただけで停止状態になり、ようやく今月中にも
運転再開できるめどが立った。
続けて2度の落雷を受け、プロペラ型の羽根(ブレード)が破損したのが原因で、運営会社は衝撃や
電流に強い羽根に交換したが、風力発電の“天敵”とされる落雷そのものを防ぐのは難しい。
風力発電事業大手のユーラスエナジージャパン(本社・東京都港区)の現地法人トーメンパワー釜石
(岩手県釜石市)が建設し、運営している。釜石、遠野、大槌3市町にまたがる標高900メートル前後の
高台に、高さ約68メートルの柱と長さ約30メートルの強化プラスチック製の3枚羽根を持つ風車43基が
設置されている。
風速60メートルの強風にも耐える設計だったが、運転開始目前の昨年11月に2基の羽根が壊れ、
今年2月にも3基の羽根が付け根から折れ曲がるなど破損した。強風で壊れたとみられていたが、その後の
調査で落雷によりできた亀裂が強風で広がったのが原因と分かった。柱の先端の発電機上に避雷針はあったが、
羽根に雷が落ちて被害が出た。
同社は3月から風車を止め、6月から羽根に金属線を埋め込み、落雷があっても柱を通して地面に電流を
逃がすようにし、羽根に使う接着剤も強力なものにした。発電機や羽根を調整後、国の検査を受けて運転を
再開する。
環境に優しく、観光施設にもなる風力発電施設は全国で建設が進んでおり、新エネルギー・産業技術総合開発
機構のまとめでは、3月末現在で924基総定格出力92万6575キロ・ワットに上る。しかし、落雷で壊れる
被害も相次いでいる。
高い避雷針を立てる方法もあるが、コストが高く、奥山寛・同社発電所長は「背の高い施設だけにすべての雷を
避けるのは無理。落ちても耐えられるように改良していくしかない」と話す。
(2005年10月2日10時53分 読売新聞)
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