05/05/14 14:57:50
アフリカで約20万年前に誕生した現生人類は、6万数千年前にインドからオーストラリア
まで、インド洋に沿って一気に広がったとみられることが、英国などの研究チームが行った
アジア人の遺伝情報の比較分析でわかった。(中略)
研究チームは、長く孤立していたために遺伝情報から祖先をたどるのが容易なマレーシア
の先住民260人について、ミトコンドリアという細胞内器官の遺伝情報を新たに解読した。
これまでに解析されていたアジア人やオーストラリア先住民の遺伝情報と比較したところ、
その違いから、マレーシア先住民は約6万年前以降にほかのアジア人の系統から枝分かれ
していたことが判明した。
アフリカから旅立った現生人類はまず、紅海をわたりアジア方面に向かい、インドには
約6万6000年前、オーストラリアには約6万3000年前にたどりつくなど、急速に広がった
可能性が高いこともわかった。ヨーロッパに約4万年前にたどりついた現生人類は、アジア
に出た現生人類の一部が枝分かれしていったという。
現生人類のアフリカからの旅立ちは一度きりで、その集団の規模は数百人程度だった可
能性が指摘されている。時期は約8万5000年前よりも最近だと考えられているが、明確に
突き止められていない。
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読売新聞 2005/5/13
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
出アフリカは海岸ルートで
新たに実施された2件の遺伝学的研究により、初めて東アフリカを出てアジアへと移り住ん
だ現生人類は、中東地域を横断したとする従来の説とは異なり、海岸沿いのルートを取った
可能性が示唆された。
一方の論文は、このような人類の分散は短期間に起こった単回の事象であり、後にヨー
ロッパやアジアへの移住を導くことになった可能性があると結論している。
人類の移動に関する情報の大半は、現代人から採取した、母性遺伝するミトコンドリアDNA
の研究から得られる。異なる集団間に見られるミトコンドリアDNA塩基配列における変異の
程度は、通常、集団が分岐してからどれほどの時間が経過したかを反映している。
Kumarasamy Thangarajらは、インドとミャンマーの間に位置するアンダマン諸島とニコバル
諸島の先住民族を対象に、ミトコンドリアDNAを調査した。その結果、アフリカからの移住以
降、遺伝的隔離状態で生き残ったと思われる比較的古い2集団の存在がアンダマン諸島民
で確認された。一方、ニコバル諸島民は、東南アジアに居住する集団と近い関係にあること
が示唆され、祖先はより最近に東洋から移住してきたと考えられた。
もう一方の研究によると、マレーシアの先住民族、オラン・アスリ族のミトコンドリアは、アフ
リカを旅立ったヒトが南の海岸を経由してインドを通り、東南アジアや現在のオーストラリア
に広がったとする説を裏付けているという。オラン・アスリ族は6万年前、祖先がアフリカから
移住した直後に他のアジア系種族から分岐した可能性が高い。
Vincent Macaulayと国際研究チームは、早い段階で枝分かれが起こり、近東やヨーロッパ
への移住が起こったものの、インドからオーストラリアへの大規模な分散はわずか数千年と
いう極端に短い期間で起こったという説を提案している。
関連するPerspectiveは、アンダマン諸島民やオラン・アスリ族の人口は減少傾向にあるた
め、データ収集を急ぐ必要があることに言及している。
Science Highlight 2004年 5月 13日(金)
URLリンク(sciencemag.jp)
>>2あたりに続く