07/07/07 20:01:54
URLリンク(www.mofa.go.jp)
●中南米へ行ってみたい
外務大臣の麻生太郎です。(中略)初めに本日、中南米についてスピーチを致します訳を
申し上げておきます。
今年の夏わたくしは、ブラジルとメキシコを訪問したいと考えております。ことにブラジルでは、
FEALAC、Forum for East Asia - Latin America Cooperationというのですが、東アジア・ラテンアメリカ
協力フォーラムの、第三回外相会合に出席したいと思っています。
そこでこの際、日本にとって中南米とはという問題を少し突き詰めて考えておくのもよかろうと思いまして、
この場をお借りすることに致しました。
世界にはいろんな所がありますが、中でも中南米がどれだけ面白い場所か、という話をまず致します。
わたくしども、中南米をエキサイティングだと思う理由は次の二つです。
その一は、中南米が今や、歴史的な転換期にあることです。その二は、中南米くらい、我が国の官民が
挙げて営々と、一種の「含み資産」を積み上げてきた地域もほかにないということです。
そういう中南米に向かって我が国外交が投げ込む球は、直球、ストレートです。
すなわち第一に、経済関係の強化。第二に、中南米各国は今、社会的公正を広めていくことを最大の
課題として取り組んでおりますから、その努力を助けること。
そして第三が、中南米というのはサンフランシスコ平和条約を結んだ頃以来、日本を熱く支持してくれる
国の多いところですので、今後は国際舞台で、もっと一緒にやっていこうという、以上の三つです。
この三つを通じ、中南米と我が国と、お互い頼れるパートナーになってまいりたい―。これが、本日の
結論となるはずであります。
●日本の戦後と、「近かった」ブラジル
(中略)
●中南米は中国と匹敵、インド二つ分
ともかく皆さん、世界で伸びているのは中国やインドだけだなどと、思い込んでもらっては困ります。
中南米各国では、近年ようやく財政収支が改善し、インフレ退治ができました。一次産品市場の
大相場で、国際収支も劇的に良くなっております。どちらも、歴史始まって以来の現象です。
GDPのサイズでは今面白いことに、韓国、ロシア、インド、それにASEAN全体が、ほぼ横一線です。
大体、8000億から、9000億ドルです。
ところがメキシコとブラジルが、それぞれこれに並んでいる。つまり中南米には、インドが二つある、
あるいは、ASEANが二つあるのだと思ってください。また中南米全体では、ちょうど中国経済の規模に
匹敵します。
中南米はまず資源が豊富、今後は消費を伸ばすでしょうし、元々欧米諸国に地の利があります。
日本からすれば、一次産品の供給源、製品の売り先、さらに生産基地として、いずれも重要ということに
なりますので、皆様もさぞや、中南米に関心をお持ちのことと存じます。
わたくしは皆様の活動を、外務省に後押しさせるつもりです。経済協力をするにしても、日本と中南米の
関係を強くする方向で、進めさせたいと思っております。
後ですぐ触れますが、中南米はおおむね民主化を成し遂げました。指導者というのは大衆の支持を
受けて出てくると、どこでもそうでありますが、まずは格差とか、分配政策を気にせざるを得ません。
中南米の国々では今、そういう状態が始まったばかりでして、政府がとかく民間の経済活動を気にするように
なっております。日本企業が進出するにつけても、相手国政府との折衝が重要になりますから、外務省に、
一汗かかせねばなりません。
(中略)
●「共益」を語れる時代
それにつけても、中南米の発展には、わたくしどもの意をとりわけ強くさせるものがあります。
1980年代に、軍政が軒並み民主主義に変わりました。その結果、今や多くの政権が、民意を反映する
政治を定着させることと、市場経済のもと、安定した経済発展を図ることとの両立を目指し、両者の間に
好循環を生もうとしております。意を強くさせるというのはまさしくこの点でありまして、世紀のドラマを
見る感すら抱かせるものです。
>>2に続く