07/06/19 20:24:25 hdr0Dh0a
>>363
>じゃあ何頭に増えたら、毎年何頭獲っていいんだ?
>その数値なしじゃ反対できないだろ。
ストック(系群)構造がわからないと、知らずに特定ストック(血縁集団)
を壊滅、あるいは極端な低位安定状態にさせてしまう危険があるから、
南極圏全体の頭数がわかっただけじゃ駄目なんです。
夏に南極周辺に集まってる各ストックが、冬に亜熱帯圏の各繁殖地へ
分かれてゆく様子、そのストック間でたとえば一世代に何頭交流が
あるのか、などということを調べなきゃ、「持続的利用」の基礎知識
が得られません。
これ、南極周辺でいくら捕殺してもわからないのです。
簡単なのはトランスポンダという、ケータイの受信部分みたいなもの
を鯨に付けて、毎年どのように移動してるのかを、各国の研究所や
ヲチ屋、海辺の高校生物部等に調べてもらうやり方です。
このやりかたに遺伝子分析とか、求愛の「歌」の違いの分析とか
いろいろな生態要素を加えて6ストックあるとか、8ストックだ
とか決めるのです。
ストック構造と頭数、繁殖率等がわかった段階で、どういう獲り方を
したら持続的利用が可能かという、管理の視点でのコンピュータ
シミュレーションをやります。
いずれにしても1992年前後とか、2000年前後の段階では、南極周辺
に良く似たクロミンククジラとコビトミンククジラの二種類がいる
らしいということはわかっていたのだけれど、これらの分類学上の
関係が明確ではなかったですし、実際に海で船から見ても区別し
にくい場合がかなりあるということで、「何頭とっても安全」なんて
ことは科学委員会としては言えない状況です。
ストック構造がわかれば、数式上かなり獲れることにはなるはずですが、
あと南極圏全体の生態系をたいへんデリケートな環境であると同時に、
二酸化炭素の強力な吸収システムであると考えている南極海洋生物資源
保存委員会(CCAMLR)の承認が必要ですから、前途多難です。
CCAMLRからはIWCの会議へ必ず代表が出席してますから、CCA
MLRが拒否することがはじめからわかってることはIWCは議題に
しないです。これを「反捕鯨派の政治的圧力」とか名付けてもいいですが、
CCAMLRに集まっている科学者というのは、各国の普通の自然
科学者ですから、そういうふうに「敵」を設定しても、有効な対抗
手段というのは出てこないと思います。