07/05/01 14:21:24
ロシアが石油や天然ガスに続き、原子力をエネルギー外交の柱に据える戦略を鮮明に
している。年内にも、原料となるウランの採掘・濃縮から原子力発電所の建設までを
一手に担う国営統合企業を創設することが決まった。
原子力発電所に対する新興国などの需要の高まりを受け、この独占企業が海外市場で
攻勢をかける構えだ。
プーチン大統領はこのほど、国内の原子力関連企業をすべて統合した国家独占企業体
を創設するよう大統領令で命じた。国営ロシア通信などによれば、この新会社は
露原子力庁を母体として設立される「ロスアトム」で、原発建設などを担う部門には
既存の国営・民間企業約85社が統合される見通しだ。
プーチン政権は国策として重点を置く産業分野の国家独占化を進めており、天然ガス、
石油パイプライン、武器輸出、航空機製造などがすでに国家管理下に置かれている。
ロスアトム創設もこの流れに沿った政策で、同社に資金を集中投下することで原子力
分野を強化、効率的なエネルギー外交につなげる狙いがある。
ロシアが今、原子力分野のてこ入れに動くのは、中国など新興国のエネルギー需要
急増が避けられない中、石油価格高騰や地球温暖化への懸念から原子力エネルギーへ
再び注目が集まっているためだ。
露原子力庁は今後25年間に海外で60基の原発を建設する計画で、発展途上国を
中心に積極的な売り込みを図る方針だ。
また、ロシアは各国からウラン濃縮を受託する「国際核燃料センター」の創設を計画
しており、国家独占企業体の創設はこの構想にも弾みをつけそうだ。日本も原発用の
ウラン濃縮をロシアに委託する交渉を進めており、原子力分野の企業統合でロシア側
の取引相手が一本化されることには利点がある。
ただ、ロシア・旧ソ連の原発では1986年のチェルノブイリ事故以降も小規模な
トラブルが続発、核物質の管理体制と合わせて安全面での懸念は払拭(ふっしよく)
されていない。
また、ロシアは近年、反露的な近隣国への石油や天然ガスの供給を止めるなどして
いるだけに、原子力分野でもロシアが強硬なエネルギー外交を展開することへの
警戒感は高まりそうだ。
ニュースソース URLリンク(www.sankei.co.jp)