07/11/25 15:44:26
日本人置き去り成り済まし入国
無謀手口も見極め困難 日中にブローカー組織か
2007年11月25日14時15分
中国籍の女が日本人女性のパスポートをだまし取って中国に置き去りにし、入れ替わりに顔の似た中国人の女を
成田空港から不法入国させていた事件が明らかになった。一見無謀な手口だが、入国審査を行う東京入管成田空港支局は
「女性の場合、髪型や化粧を似せれば判別しづらい」と見極めの困難さを明かす。県警は日中両国にブローカーがおり、
組織的に同様の手口を繰り返していたとみて全容解明を急いでいる。
同事件で入れ替わり入国を手引きしたとされる中国籍の李惠娟被告(44)=旅券法違反の罪で起訴=は「仕事を
手伝ってほしい」と知人の日本人女性三人を誘い、今年四月三日、一緒に成田空港から中国山東省の青島空港へ向かった。
李被告は青島市内のホテルで三人からパスポートを預かり姿を消すと、二日後、パスポート写真と顔が似ている
中国人の女三人を連れて帰国。一方、置き去りにされた日本人女性三人は北京の日本大使館に助けを求めた。
県警は、二日間で“入れ替え”が完了していることなどから、中国側のブローカーがあらかじめ密航希望者を
用意していたとみている。李被告は一九八八年に来日後、一度オーバーステイで強制送還されたが、二〇〇四年に
偽造旅券で再来日していた。
◆入国審査パス
成田空港に降り立った中国人の女三人は入国審査をパスした。東京入管成田空港支局は「厳しく審査しているが、
女性の場合、髪形や化粧を似せれば通過はありえる。日本人と思っている相手に『中国人ですか』とは聞けない…」
と話す。
今月二十日、入国審査で指紋と顔写真の提供を義務付ける改正入管難民法が施行されたが、“日本人”は対象外。
この手口では、密航者たちがブラックリストと照合されずに入国してしまう恐れがある。
◆密航費は数百万か
県警によると、李被告の不正な出入国回数は二〇〇四年以降、少なくとも十二回に及ぶ。今年一月にも日本人女性を
香港に置き去りにし、米国ホノルル空港で中国人の女と一緒に上陸拒否されたことが確認されており、同様の手口で
不法入国援助が繰り返されてきた可能性は高い。
この中国人の女は成田空港経由で中国に強制送還されており、途中、東京入管職員に「ブローカーに数百万円払った」
などと話したという。
県警は、国内には就労先のあっせんブローカーがいるとみて詳しく調べているが、不法入国援助や不法就労助長で
摘発するには、密航者の特定が必要。日本人に成り済まし、四月に不法入国した中国人の女三人の行方は依然不明だ。
千葉日報
URLリンク(www.chibanippo.co.jp)