07/11/24 02:00:50
■「対中政策」焦点 あす豪総選挙 与野党“媚中”合戦
■「胡主席と親密」ＰＲ
２４日投票のオーストラリア総選挙で「対中政策」が焦点に浮上している。ウランなど
資源の対中輸出をテコに景気を拡大させた実績をアピールするハワード首相に対し、
外交官として北京での勤務経験をもつラッド労働党党首は親中外交の加速を訴えた。
対米外交ではブッシュ政権によるイラク戦争への賛否で対極にある与野党の戦いだ
が、対中外交では胡錦濤政権との親密度を競うという異例の展開だ。「中国市場」の
存在感がオーストラリアで急速に高まっているようだ。（河崎真澄）
◆チャイナスクール
ハワード首相は９月、シドニーのアジア太平洋協力会議（ＡＰＥＣ）に合わせてオース
トラリアを訪れた中国の胡国家主席に最大級の歓迎で応じた。胡主席は鉄鉱石鉱山
など関係先を相次ぎ視察。“資源外交”を印象づけたが、胡主席が臨んだ中国向けの
液化天然ガス（ＬＮＧ）輸出調印式にはハワード首相も同席して親密さをアピールした。
さらに閣僚級の定期協議の開催で合意するなど、新たな輸出相手国として急浮上し
た中国との関係強化を有権者に訴えた格好だ。
一方、ラッド党首は胡主席との会談で、北京での１９８０年代の大使館勤務時代の思
い出を堪能な中国語で話すなど“チャイナスクール”ぶりを強調。２人の息子も中国語
を学習していることや、娘が中国系の移民と結婚したことなど家族ぐるみの「親中派」
をアピールした。経済政策をにらんだ対中関係の加速に加えて、中国系など移民の
有権者が増えていることにも配慮したものとみられる。
対中政策を拡大する方針で与野党の主張に大差はないが、「中国」がオーストラリア
の有権者をひきつけるキーワードになってきたことは実際、興味深い。
◆人気投票の様相も
総選挙では、イラク戦争を支持するハワード首相が率いる保守連合（自由党と国民
党）に対し、イラクからの戦闘部隊の撤退を主張し「世代交代」を訴える中道左派、
ラッド党首の労働党が激しく争っている。
イラク戦のほか与党は経済運営、労働党は環境・教育政策と、それぞれ得意分野も
アピールしている。
ラッド党首は環境政策で京都議定書の批准を公約したいる。ハワード政権に批判的
な２０～４０代を中心に支持をつかんだという。ブッシュ米大統領の「僕（しもべ）」など
と揶揄（やゆ）されたハワード首相だが、長期政権の割には高い支持率を保っている。
２０日付のオーストラリアン紙（電子版）による世論調査の結果では、１１年ぶりの政
権奪還を狙う労働党への支持率が５４％と優勢。保守連合は４６％と８ポイントの差
が開いている。終盤で与党の巻き返しも予想され情勢は予断を許さないが、ハワード
首相とラッド党首の「人気投票」の様相も濃い。
▽ソース：フジサンケイ ビジネスアイ
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