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★偽造印紙と偽マイルドセブン
松村テクノロジー社長 松村喜秀氏
昨年7月、東京都台東区の金券ショップになんと200円の偽造収入印紙29万8000枚(5960万円相当)が
持ち込まれた。ショップは持ち込んだ韓国籍の男に約5500万円を渡し、印紙と引き替えた。ところが、
その後、この印紙に不審点があるのが分かり、事件が発覚した。
この偽造印紙は極めて精巧で、海外で作られた可能性が高い。
一般の人はあまり印紙に触れる機会がないため、関心が薄いだろうが、実は昔から偽造はあるのだ。
印紙には収入印紙、登記印紙、特許印紙、自動車重量税印紙などいろいろな種類があるが、一般的
には印紙といえば収入印紙を指す。
収入印紙の額面は31種類あり、安いもので1円、2円から、高額になると1万円や5万円、最高で10万円もある。
これをシートで偽造して売りさばけば、たちまち大きな収入になるのだから、犯罪者グループが見逃すはずがない。
■のりをなめて分かった偽造印紙
かつて、わたしも偽造印紙シートの鑑定をしたことがある。金券ショップの経営者に鑑定を頼まれたのは
1万円の収入印紙シートの束。おそらく数千枚はあったろうか。非常に精巧に出来ており、目視と手触り
だけでは偽物と分からなかった。
見た目と手触りというのは実は鑑定において重要な作業で、このときの第一印象があやしければ、ほとんど
の場合が偽である。ところが、この印紙シートは目視と手触りだけでは何かが違うとは感じたが、確たる証拠
は見つからなかった。
そこで、ルーペで細かにチェックしたが、やはり異常は見つからない。紙の組成も本物と同じだった。紙の
繊維質の中に筋のようなものがあり、わたしたちはそれを「骨」と呼ぶのだが、以前、この骨の形状が異なって
いる偽造印紙を見つけたことがある。ところが、そのときは骨も同じだった。
さらに紙質を確認するために特殊な蛍光マーカーを印紙の端につけて、色の浸透具合を観察したが、本物と
同じだった。インクの成分を見るために除光液を塗って反応の仕方を確認したが、これも本物と変わりがなかった。
せっぱ詰まったわたしは、苦し紛れに印紙の裏ののりをなめて味を確かめてみた。昔、スーパーKの鑑定でも
札を切って食べたことがあるが、味も重要な鑑定要素だ。
すると、のりの味が本物と微妙に違った。そこで、印紙の裏部分をルーペで丹念に隅から隅までチェックすると、
途中にのりづけのムラがあることが分かった。ほかのシートも同じ場所にムラがあった。
これで偽造と分かったが、それほど精巧な偽造印紙が世の中には出回っているのだ。おそらく東南アジアで
偽造され、日本では暴力団などによって、金券ショップで売りさばかれているようだ。 (つづく)
(SAFTY JAPAN 2007年10月26日)
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