07/10/09 16:33:47
狙われる日本人 タイでの犯罪被害14年連続首位 いかさま賭博、すり…「警戒を」
●「古典的手口」いまだ横行
タイで犯罪に巻き込まれる日本人が後を絶たない。
海外の日本人犯罪被害者などを在外公館が援護する「邦人援護件数」を公館別にみると、
2006年まで14年連続で在タイ日本大使館受け付け分がトップ。
観光客や在留邦人が多いこともあるが、日本人ばかりを狙った犯罪も昔から横行している。
在タイ日本大使館は「警戒心と予備知識があれば防げたケースも少なくない」と注意を呼び掛けている。
(バンコク・柴田建哉)
▽最後は大負け
「こんな手口がまだ通用しているのか」。在タイ日本大使館の石川達雄参事官は
20年ぶりにタイに赴任して驚いた。
1980年代後半に勤務していた時から問題になっていた「いかさま賭博」がまだ続いていた。
いかさま賭博は日本人をターゲットにした古典的な犯罪だ。
細かな設定は違うが、基本的なストーリーは変わらない。
「妹に日本のこと教えて」と英語で話しかけタクシーで家に→カジノのディーラーを名乗る兄が登場し、
いかさまトランプ(ブラックジャックなど)の手口伝授→“カモ”役を装った外国人が現れ、
ゲーム開始→最初はいかさまを使って勝つが最後は大負け→金を払わされる
(クレジットカードでキャッシングさせる場合も)。
「子どもだまし」と笑えない。この「いかさま賭博」の日本大使館への被害届は、昨年65件。
今年も半年で12件に達した。帰国後、知人に話して初めて「だまされた」と気付くケースもあるという。
タイ観光警察によると、犯人グループはフィリピン人のケースが多く、
大金を巻き上げて出国する「ヒットアンドアウエー」を繰り返しているという。
千数百万円をだまし取られた被害者もおり「犯人たちは役割分担やしゃべりが極めて巧妙だ」と話す。
▽親切があだ?
被害が最も多いすりも、現場は人込みの中だけではない。
タクシーを停車して通行人に道を尋ね、「地図で教えて」と車内に誘い、
丁寧に説明させているすきに財布を抜き取る「道尋ねすり」といった手口も登場した。
「睡眠薬強盗」は今年の8月だけで4件発生。
一緒に食事中に飲食物に薬を入れられて意識が薄れ、気付くと貴重品がない‐というパターンが
一人旅の男性を狙って繰り返されている。
グラスだけでなく、クッキーに混ぜたり、缶ビールの底から注射器で入れたりするなど多彩だ。
それにしても日本人の被害を何とか防げないのか。
一線で捜査に当たるタイ観光警察のサムラーン局長に尋ねるとこう指摘した。
「親切で優しい日本人は、相手もそうだと思っているのではないか。
逆に犯罪者は日本人は金持ちで、だましやすいと思っている」。
魅力あふれる「ほほ笑みの国・タイ」の旅を満喫するためにも、警戒心だけは怠らないようにしたい。
=2007/10/09付 西日本新聞夕刊=
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