07/09/29 12:04:47
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が10月2日から4日まで北朝鮮・平壌で開かれる南北首脳会談期間中、
北朝鮮の政治体制宣伝用マスゲーム・芸術公演が行われる「アリラン公演」を観覧することを決めたが、
これをめぐり批判が巻き起こっている。盧大統領が観覧を決めたのは、北朝鮮側の要請によるものだ。
北朝鮮はなぜこれほどアリラン公演にこだわっているのだろうか。北朝鮮の朝鮮中央テレビに勤務して
いたチャン・ヘソン氏(63)に聞いた。
―マスゲーム・芸術公演はいつから始まった?
「1962年からだと思う。59年に故・金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記が
一緒にソ連を訪問したとき、10月革命称賛マスゲームがあった。それを取り入れたものだ。初期は
3000人程度の規模だった」
―大規模に行われるようになった背景は?
「72年、金日成主席の60回目の誕生日からマスゲームが労働党の業績称賛から偶像崇拝の手段に
変わった。金日成主席の誕生日をいっそうアピールするため金総書記が宣伝に活用し、進化した」
―北朝鮮はアリラン公演で何を示そうとしているのか。
「アリラン公演は“金日成民族”と“先軍政治”に重点を置いている。“金日成民族”は民族の100年史
(金日成が生まれた“万景台ファミリー”を中心に見た北朝鮮の歴史)が金日成により行われたという
ことを強調するものだ。そして金正日の後継者の伝統的正当性と偉大さを“先軍政治”の名で表現する。
先軍の目標は武力統一だ。北朝鮮は“宣伝メディアを通じ伝えられるアリラン公演は核兵器よりも
威力のある思想的武器”と強調している」
―北朝鮮がアリラン公演にこだわる理由は?
「理由は二つある。一つ目は、最高権力者の周りに堅く団結した軍隊と人民の姿を内外に示すこと。
二つ目は、見せるものがそれしかないということだ。オルブライト元米国務長官も観覧したが、それは
米国も下手に手を出すなという警告だった。外国の首脳に見せれば北朝鮮の位置付けが上がり、
自分たちに対し恐怖を感じる、と金正日(キムジ・ョンイル)総書記は思っている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)
大統領にも“われわれに下手な対応を取るな”というメッセージを送ろうとしているのだ」
―マスゲームや芸術公演を主導するのはどんな機関?
「国家体育指導委員会のマスゲーム・芸術公演創作団が労働党宣伝扇動部の直接的な指導を受け
シナリオを作成し、創作技術を開発する。行事が本格的なものになると、体操・舞踊指導員など体育
分野や芸術分野の専門家が創作団に臨時で配属され、技術指導する。成果があれば昇進のチャンス
が広がるため、志願する人が多い」
―アリラン公演終了後、動員された人々にはどんなメリットがあるのか。
「一時、経済状況が良かった時代は振付師らにテレビなど破格なプレゼントが贈られた。指導員
(教官)たちは出世のチャンスだから、子どもたちをせき立て成果を上げようとする。だが、子どもたちは
何カ月も苦労したとしても袋入りのアメがもらえるのがやっと。経済的困窮が長引き、メリットも少なく
なった」
―外国では児童虐待との批判も多いが。
「アリラン公演は平壌の子どもたちの血と涙そのものだ。極寒や猛暑の中、数万人を機械のように
動かす訓練をするというのは言語道断。何カ月も勉強できない。何時間も水が飲めず、トイレさえ
行かせてもらえなければ、韓国の親たちは何と言うだろうか。アリラン公演を称賛するのは、良心が
欠落している人々だ」
■チャン・ヘソン氏とは
金日成総合大学語文学部を卒業、北朝鮮の朝鮮中央テレビに記者や放送作家として勤務した。
北朝鮮で大人気を呼んだテレビやラジオのドラマ『チョンボクとマンギル』『南から来た手紙』『ある闘士
の思い出』などの脚本を書いた。1996年に脱北し、韓国に入国。国家安保統一政策研究所で研究員
を務め、定年退職した。現在も北朝鮮文学に関する創作活動を行っている。
ソース(朝鮮日報)
URLリンク(www.chosunonline.com)
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