07/09/07 16:56:44 0vTZcJRi
(4/5) >>194より続き
激しい情交、そして幾度も押し寄せる快感の波…尾崎豊はベッドの上でまどろんでいた。
薄暗いホテルの部屋は、先ほどまでとは打って変わって静寂に包まれている。エアコンの温度設定が若干高めなのか、
春先にも関わらず汗ばむような熱気が尾崎豊の肌を包む。
思考を集中できない。見城さんから貰ったあのクスリの影響なのだろうか?
彼の横で見城徹は野太い鼾をかいて寝ている。尾崎は見城の横顔を見つめた。
見城徹…ついさっき、あれほど激しく自分を求めてくれた男。その圧倒的なパワーと、男性的な荒々しい精力に、尾崎豊
は完全に圧倒されてしまっていた。
今までの人生の中で、あれほどまでに他人に求められたことは無かった。
そのことが、尾崎豊の中のプライドを突き動かした。
歪んでいる。確かにそうだ。しかしこれほどまでに濃厚な人間関係がかつてあっただろうか?
禁断の愛に包まれた尾崎の中で、今、自分への確信が芽生えつつあった。
(俺は、俺は見城さんを信じるっ!)
尾崎はいつしか心の中で叫んでいた。
…これから自分はどうなってしまうのだろう?本当の自分、あるべき姿とは?
尾崎を苛め続けてきた疑問…そんなものはライブステージの上で繰り広げられる歓喜と熱狂に比べれば、とてもちっぽ
けな物思えた。
(考えるな、感じろ!感じ取るんだ尾崎っ!)
見城さんは、そう言って送り出してくれた。
ステージの上で自らを曝け出し絶叫するあの瞬間こそ本当の俺の姿なのか…。
そう、見城さんは自分の悩みを真摯に受け止め、あるべき自分の姿を提示してくれた。そして抱きとめてくれたのだ。