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ナヤン・チャンダ著（ユ・インソン訳）『世界化、全地球的統合の歴史』（モチーフブック、2万5000ウォン）
1999年11月、太平洋に面する米国のシアトルで世界化に反対する大規模デモが起こった。現地では
世界貿易機構（WTO）閣僚会議が予定されていた。グローバル企業のボーイング社やマイクロソフト、
スターバックス本社もこの地にある。
デモに加わったある若者はスターバックスの売り場に設置されていたガラスに空き缶を力一杯投げつ
けた。この日の世界化反対デモには労働者、農業従事者、学生、環境運動団体や人権運動団体など
の会員ら5万人が参加した。デモの参加者たちは世界化が不平等を広めていると訴えた。ラテンアメリカ
のコーヒー栽培農家で働きながら搾取されたと主張する労働者たちが世界化の犠牲者だというのだ。
しかしわたしの考えは違う。スターバックス・コーヒーの世界化は数千年にわたるコーヒーの歴史上で
の世界化プロセスの一部に過ぎない。コーヒーはエチオピアのカパ地方で山羊を追っていたカルディラ
という人物が発見したと言われている。カルディラはある日、木になっていた赤い実を食べた山羊が活力
にあふれ、家に戻ろうとしないのを知った。そこでカルディラがその実を食べてみると、舌の先から全身に
快適な興奮が広まるのを感じた。ある学者はコーヒーという名はコーヒー豆が発見されたカパ地域に由
来すると説明している。
コーヒーの世界化は16世紀にオスマントルコ帝国がイエメンを征服したことから始まる。1544年にダマ
スカスから来た商人が、イスタンブールに最初のコーヒー店をオープンした。その後コーヒーは「夜の祈
りのために目を覚まさせてくれる飲み物」としてイスラム教徒たちから愛されるようになった。「イスラムの
ワイン」とも呼ばれていたコーヒーは、ヨーロッパのキリスト教社会では一時悪魔の飲み物とされていた
時期もあった。トルコ人はコーヒーを「カベ」と呼ぶが、この言葉がフランス語のカフェや英語のコーヒー
へと変わった。著者によると「世界化反対のポスターに憎悪のシンボルとして最も多く登場するスターバッ
クスは、実際はエチオピアの丘を越えて世界へと伝わったコーヒーの様々な変遷の中での、最も新しい
現象に過ぎない」というのだ。
米国のエール大学世界化研究所出版刊行物ディレクターで著者のナヤン・チャンダ氏は、香港の「ファ
ー・イースタン・エコノミック・レビュー」の編集長を務めたこともあるジャーナリストだ。彼は人類の起源と
されているアフリカから数千年を経た世界化のプロセスについての豊富な逸話を紹介している。著者は貿
易商、兵士、探検家、宣教師が世界化の先頭に立った4つの主役であり、世界化は20世紀に始まった現象
ではなく、数千年にわたり続いてきた人類歴史のプロセスだと主張する。
一方、韓国を代表するキムチも、コロンブスという傑出した探検家が新大陸で辛い唐辛子を発見してい
なければ現在の姿はなかった。韓国の辛いキムチは今や、世界中を飛ぶ飛行機の機内で味わうことが
できるほどに徐々に世界化している。しかし16世紀まで韓国のキムチはにんにくと白菜を基本の材料とす
る辛くないものだった。コロンブスが発見した唐辛子はポルトガルを経て日本に伝わった。著者によると、
1592年に朝鮮を侵略した日本人の武士たちが現在のキムチの姿が出来上がるのに貢献した主人公だっ
たという）。著者は「民族主義的でプライドの高い一部の韓国人は、辛いキムチの誕生の裏側に、16世紀
後半に韓国を侵略した豊臣秀吉がいたという事実を認めたくはないかもしれない。しかし韓国料理の歴史
に苦痛を伴った世界化が関係していたケースは、おそらくキムチが最後ではないだろう」と語っている。
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