07/08/18 20:10:30
北京テレビによる「段ボール肉まん捏造(ねつぞう)報道」をきっかけに、
中国当局が報道規制を強めている。複数のメディア関係者によると、
事件直後、偽食品摘発や重大事件などマイナス面の調査報道やスクープ
報道を禁止する通達が出された。
当局は来年8月の北京五輪に向けて報道の規制緩和の方針を
打ち出しているが、メディア関係者は「以前より社会問題の報道に対する
引き締めが厳しくなった」と指摘する。
複数のテレビ局や新聞社の関係者の証言によると、通達は肉まん
事件が起きた直後の7月下旬、共産党中央宣伝部から各メディアに出された。
通達では、肉まん事件は、北京五輪を控えた重要な時期に海外で
中国産食品についての過剰な批判を引き起こし、国家の対外的な
イメージやメディア界の信用を著しく失墜させたと強調。調査報道や
スクープ報道は「市民を不安にさせ、社会の混乱を招く危険性がある」と警告し、
各社の独自取材による批判型記事掲載の自粛を指示した。
当局は、捏造報道を見つけ出すため、各地方の党宣伝部や新聞社、
テレビ局に対し、視聴者や読者から報道内容への批判や情報提供を受け付ける
専用電話を設置するように命じた。捏造報道を転載した他のメディアの責任も
追及するという厳しい内容だ。
通達後、紙面をにぎわせていた危険な食品や問題製品についての記事は
ほとんど見なくなり、当局が発表した安全対策や中国製品の合格率の高さを
アピールする報道が目立つ。地元紙記者は、通達直後、上層部から「国家のイ
メージを損なう報道はいっさいするな」と厳命されたと語る。
中国では、メディアは共産党の方針や政策を宣伝する「党ののどと舌」(代弁者の意味)
と位置づけられ、報道の自由は制限されている。
しかし近年、環境問題や食の安全の分野で、各放送局や新聞社の記者が独自に調査して
告発する報道が増加。「政府や政策を直接批判する内容以外はほぼ許されていた」(テレビ局記者)
「肉まん事件」は、こうした緩和の流れに水を差した形だ。「五輪を控え、当局はさらに
『社会の安定』を重視し、締め付けは一層厳しくなる可能性が高い」(中国の大手新聞社記者)という。
ソース:朝日新聞
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