07/08/01 15:29:39
中国の上海当局は、同市中心部と郊外の上海浦東国際空港間の30キロを結ぶリニア
モーターカー建設に12億5000万ドル(約 1500億円)を投じた。だが、人材派遣会社に
勤めるシンディ・ホアンさんはリニアを利用せず、バスを使うという。
磁気で浮動するマグレブ方式を採用した上海のリニアモーターカーは、世界最速の
鉄道で、運賃は片道50元(約780円)。一般的な上海市民にとっては、高過ぎると
ホアンさんは言う。時速431キロのリニアにはゲストを上海の金融街を案内するため
などに11回乗車したことがあるホアンさんは、「すごく高いし、乗るまでの時間が無駄
になる」と話す。
上海当局は、53億ドルを投じ、現在30キロのリニア路線を延長する計画を延期した。
乗客数が予想の4分の1以下にとどまっていることや、マグレブ方式電磁波に対する
近隣住民の抗議、建設コストがほかの高速鉄道の2倍となっていることなども影響している。
ドイツのギーセン大学で交通経済学を教えるゲルト・アベーレ教授は、上海リニア延長
計画の延期に伴い、マグレブを開発した独エンジニアリング大手シーメンスと独製鉄
最大手ティッセンクルップは、73年前に誕生したこの技術を放棄し、少なくとも20億ドルの
経費償却を迫られる可能性があると指摘した。
アベーレ教授は、「マグレブが興味深い方式だと世界に認めさせるにはこれが最後の
チャンスだ。中国で実現しなければ、それで終わりかもしれない」と語った。同教授は、
ベルリンとハンブルクを結ぶドイツ初となるはずだったマグレブ方式のリニア路線建設
計画を2000年に中止することを決めた諮問委員会を率いていた。
アベレル教授は、既に高速鉄道網があるドイツでリニアを導入する「経済面での根拠は
非常に弱い」と述べた。
URLリンク(www.bloomberg.com)