07/07/10 08:24:57
対馬で自国流 韓国人観光客 わが領土?文化摩擦も
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朝鮮半島に最も近い長崎県・対馬に週末や休日を中心に韓国人観光客が大挙、押し寄せている。
その数、年間4万人余り。日韓双方が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の実効支配に加え、
「対馬はわれわれの領土」という意見も珍しくない韓国での“対馬ブーム”に対しては、日本国内に
警戒感もある。海峡を渡って来る隣国人は「対馬」をどう見ているのか。(名村隆寛)
▼一度は対岸に
釜山のフェリー・ターミナルを離れた韓国の客船、「シーフラワーII」は376ある客席も満席で、
乗客の大半が韓国人である。客室内には韓国語が飛び交っている。
中のひとり、慶尚北道浦項市の会社経営、権鍾昊さん(45)は「韓国からこれほど近い日本の島に
素晴らしい自然が残っているのに驚いた」と、前に一度訪れた対馬の魅力を語る。今回は、
「九州百名山に登録されている有明山と白嶽を制覇すること」を目的に、2泊3日で37万ウォン(約5万円)
の団体ツアーに、夫婦で参加したという。
ツアーは初訪問者が主で、総勢22人。添乗員の白智馨さん(30)は「晴れた日には釜山の約50キロ
向こうに対馬が見える。韓国人なら子供のころ一度は『泳いで行ってみたい』とあこがれたことがある場所」と、
韓国人の「対馬」観を説明する。
船はしけのため普段の倍近い4時間をかけ島の東側の厳原港に着いた。
▼文化摩擦も
韓国人観光客の流入増は短期ビザ免除の恒久化(昨年3月)による。大半は登山や釣りが目的。
観光客誘致を進める地元では、道路標識にハングルが併記され、飲食店や宿泊施設、商店の看板
にもハングルが目立つ。
「おかげで売り上げも伸びた」=居酒屋従業員の桟原盛久さん(55)=と、経済効果を歓迎する声が
少なくない半面、韓国人のマナーへの不満もくすぶっている。
島の中心街の厳原に昨年10月に開所した、飲食店や商店が入る「対馬市交流センター」の前は、
テーブルといすが置かれた市民の憩いの場だ。そこで韓国人たちは白昼、酒を飲んで韓国語で大声で
話をし、盛り上がる。
近くの免税店前では、登山用ベスト姿の中年男女数人がしゃがみ込んで井戸端会議中だ。
慶尚北道の公務員という安洙瑩さん(46)が「対馬はいい所。韓国に近いけどやはり日本だった」
と屈託のない笑顔で話す。
住民に聞けば、こんな光景は日常化しており、センター完成前は、週末ともなると、中心部を流れる
厳原本川の橋の上で酒盛りが行われていた。商店での値切り、韓国人釣り客が海岸に散らすまき餌や
おがくずによる汚染も地元で評判が悪い。
▼わが領土?
屋外で酒宴をし、しゃがみ、値切り、大声で話す。いずれも韓国でよく目にする振る舞いだ。
韓国人たちはそれをそのまま持ち込んでいるのだ。
気がかりは韓国の対馬に対する領土的野心だ。「歴史的に、国際法上も対馬は韓国の島だ」と、
根拠のない主張をする韓国国民は珍しくない。
2004年7月、竹島問題に絡め、ソウル市民が対馬返還集会を開催、05年3月には、慶尚南道馬山
市議会が島根県の「竹島の日条例」に反発して、「対馬島(テマド)の日条例」を制定した。対馬市は
馬山市に抗議したものの、回答はまだない。
対馬中部の美津島町浅茅湾で釣りをしていた釜山の自営業、朴春在さん(48)は「日本の独島(竹島)
領有権主張への反発なんだ」と受け流し、「条件が合えば対馬に投資したい」と言う。
対馬にはすでに韓国資本のホテルがあり、韓国人経営の民宿もいくつかある。「日本の投資がない
中で対馬の人々は韓国からの投資を歓迎している。いいことじゃないですか」と朴さんは語る。
対馬にいた韓国人からは露骨な領土的野心はあまり感じ取れなかった。だが、韓国東部の鬱陵島には、
「対馬島はわが国の地」と刻み込まれた石碑が立ち、韓国のマスコミや民族団体などは竹島問題絡みで、
「対馬領有権」をあおったりもする。
対馬への複雑な思いは海峡の向こうで今もうねっているかもしれない。