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盧溝橋事件から70年 友好と反日、揺れる中国
2007年07月08日03時08分
日中全面戦争への発端となった盧溝橋事件から7日で70年。米下院外交委員会で従軍慰安婦問題の決議案が可決され
日本の戦争責任に関心が高まる中、各地で抗日戦争関連の行事が開かれた。両国政府は、反日を抑え、日中国交正常化
35周年の友好ムードの盛り上げに懸命だ。中国国内では、南京虐殺の起きた12月13日に向け、「35周年と70周年の
せめぎ合い」(日本外交筋)が続いている。
北京市西郊の盧溝橋にある「人民抗日戦争記念館」で6、7両日、70周年の記念討論会が開かれた。台湾の学者も招かれ
約100人が参加。「日本の右翼勢力が歴史を改ざんしようとしている」「中国と台湾が協力して歴史研究し、日本と相対すべきだ」
などと、日本の歴史認識に非難の声が相次いだ。
だが出席していた北京市共産党委宣伝部の宋貴倫副部長は「今年は中日国交正常化35周年でもある。70周年と合わせて
記念することが党の方針にも一致している」と、日中友好が党の方針であることを強調。過熱する議論をいさめた。
日中両政府は、両首脳の相互訪問でようやく二国間関係が正常化したことを踏まえ、35周年を機に友好ムードを一層
盛り上げようと躍起だ。6月19日、中曽根康弘・元首相ら約200人の「日中青年世代友好代表団」が訪れた際は、胡錦濤
(フー・チンタオ)国家主席自らが人民大会堂で歓迎会を開催。交流の様子が国営の中国中央テレビでトップニュースで流れた。
中国当局は日本の文化や社会の肯定的な報道を促す一方、批判的な対日報道の規制に乗り出している。7日付の中国各紙も
盧溝橋事件についての論評はなかった。党関係筋によると、党側から主要メディアに「敏感な政治・歴史問題にはできるだけ
触れないように」と指示が出ているという。
日本側も「70周年の反日ムードを極力弱められれば」(上海総領事館関係者)と、市民への積極的なアピールに乗り出した。
映画週間やスポーツ交流、日本の交響楽団の演奏会など、過去最大規模の友好イベントを上海や南京で企画する。
だが、必ずしも当局の思惑が市民に浸透しているわけではない。日本の国会議員による抗日戦争記念館の展示資料の
撤去を求める議員連盟の発足などが中国でも報道され、戦争責任への関心はむしろ高まりつつある。
今月、南京虐殺を題材にした米国の記録映画「南京」が全国で封切られた。米国人宣教師がフィルムに収めた日本軍による
残酷な映像が連続する。上海の観客の一人は「生々しい映像を見て衝撃を受けた。友好も大切だが日本は過去を直視すべきだ」
と厳しい表情で感想をもらした。
反日感情の広がりに警戒を示す中国当局だが、一方で国民世論にも敏感にならざるを得ない。
「南京大虐殺には動かぬ証拠がある。史実のねじ曲げは許さない」
先月21日の定例会見で、日本での議連設立について尋ねられた外務省の秦剛・副報道局長は、用意した数枚の南京虐殺の
写真を振りかざし、声を震わせた。
12月に向けて改修工事中の南京大虐殺記念館は、展示スペースを約4倍の約3000平方メートルに拡張。被害者らが残した
証言や証拠品などを大幅に増やすという。
◇
〈キーワード:盧溝橋事件〉 1937年7月7日夜、北京郊外の盧溝橋近くで演習中に銃撃を受けたとして、日本軍が翌朝、
中国軍を攻撃。8年続いた日中戦の起点となった。事件後、天津、上海など戦闘地域が一気に拡大し、全面戦争に入った。
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