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◎北朝鮮にIAEA 制裁解除論は早すぎる
北朝鮮が核施設の稼働を停止し封印するのを監視、検証する国際原子力機関(IAEA)の
要員が十四日に平壌に入る予定である。これに並行して韓国が早速、北朝鮮に対して
見返りの重油支援に動き、中国は六カ国協議の首席代表会合の開催を提案する一方、
国連安保理決議に基づく対北朝鮮制裁の解除に向けて議論を始めることを求めている。
しかし、国連加盟国による制裁の解除は、少なくとも北朝鮮の核放棄の道筋を明確にすることが
大前提であり、寧辺の核施設を封印する「初期段階措置」の履行だけで制裁解除に動くのは
早すぎると言わざるを得ない。
北朝鮮がIAEAの監視活動受け入れを表明して以降、中韓両国は、はやる気持ちを
抑え切れないかのように、北朝鮮に「前のめり」の姿勢をみせている。北朝鮮の寧辺の
核施設の封印と、韓国の重油提供(初期段階措置の履行で五万トン)は今年二月の
六カ国協議で合意されたことである。どちらを先に行うかは合意書には明記されていないが、
過去の交渉経緯と、核施設停止の見返りであることを考えれば、北朝鮮の約束実行を
確認してから重油支援を行うのが筋である。米首席代表のヒル国務次官補も、重油支援は
核施設の停止後と明言していた。
ところが、韓国は十二日から重油輸送を始め、第一陣が平壌に到着する十四日以降に
北朝鮮は核施設を停止する予定という。順序がまったく逆である。韓国のこうした甘い対応に
呼吸を合わせるかのように、中国が国連の制裁解除論をおおっぴらにし始めたのも気掛りである。
十日の国連安保理会合の後、王光亜国連大使が、北朝鮮の核問題解決に有益だとして、
安保理の制裁解除を検討することを望んだのである。
しかし、昨年十月に出された安保理の制裁決議は、核実験とミサイル発射を行わないことだけでなく、
すべての核兵器と核開発計画の完全放棄などを北朝鮮に求めていることを忘れてはならない。
寧辺の核施設封印後の次の段階である「無能力化」に向けた協議はまだ始まってもおらず、
その道筋も見えない先に制裁解除論を持ち出すのは早計である。拉致問題を抱える日本としては、
なおさら認めがたいことである。