07/06/16 22:17:42
公安調査庁といえば、北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の情報収集を進め、動向を監視
するのが大きな仕事のひとつだ。その組織の元トップが朝鮮総連に助け舟を出していた。あきれた所業
である。
総連は整理回収機構から628億円の債務返還請求訴訟を起こされている。敗訴すれば東京都内に
ある中央本部の土地・建物の明け渡しを迫られる立場だ。そこで元公安調査庁長官の緒方重威氏が
社長を務める投資顧問会社が、土地・建物を35億円で購入する契約を結んだ。
資金はファンドを組んで調達することになり、所有権移転登記も済ませていた。しかし契約では1年間
は引き渡しを求めず、総連側には5年後の買い戻し予約権も認めた。緒方氏が絡む売買劇はこんな
構図だ。
まだ代金は支払われず登記が先行していることから、東京地検特捜部は、架空の不動産取引により
資産差し押さえを逃れようとした疑いがあるとして強制捜査に乗り出した。
仮装売買かどうか、即断はできない。しかし、問題は、元公安調査庁長官が総連の延命につながる
不動産売却の受け皿になろうとしていたという厳然たる事実があることだ。
緒方氏は「中央本部には実質的に大使館・公使館の機能がある。在日朝鮮人の権利を守りたかった」
としている。それが信念だとしても、立場をわきまえれば、こうした救済策には決して手を貸せないはずだ。
広島高検検事長を最後に10年前に退官した緒方氏は、公安調査庁に通算6年間も勤務した経歴を
持つ。今は私人とはいえ、調査・監視対象に対する緊張感の欠如は驚くほどだ。
国民からは、公安調査庁という組織そのものへの疑念も持ち上がろう。同庁は戦後混乱期に治安維
持を目的に発足したが、今ではその役割があいまいになっている。約1500人もの職員を抱えた組織の
あり方が改めて問われるのではないか。
今回の問題には、元日弁連会長の土屋公献氏も総連側代理人として介在していた。法曹界の大物
OBが不明朗な取引に名を連ねていた事態は異様であり、法曹への国民の信頼を損ないかねない。
法曹界の要職にあった緒方、土屋両氏には全容を包み隠さず明らかにしてもらいたい。
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