07/06/09 10:12:26
外交とは狐と狸の化かし合いそのものである。
ドイツのハイリゲンダムで始まった主要国首脳会議(G8サミット)で、安倍首相と
ロシアのプーチン大統領が北方領土問題と経済協力について話し合ったと
知って、よせばいいのにと思った。
北方領土の返還をめぐっては、その気にさせたエリツイン氏と違って
プーチン氏は「解決済み」とけんもほろろの態度を崩さず、日本にとって
文字通り「取り付く島もない」状態だ。その気にさせて煮え湯を飲ませるのと、
初めから取り合わないのとどちらが“良心的”かというと、無愛想でも
だます気のない方がまだましだが、それだって安心はできない。
故橋本龍太郎首相が、エリツイン氏の仕掛けた餌に飛びついて一兆円近い
経済援助をしたらまるで振り込め詐欺に引っかかったような結果となったのは、
良くいえばお人好し、悪くいえば無知のせいだが、それも外交のうちだ。
ただこうむった経済的損失より、現実認識を欠いた日本外交の情けなさには
腹の虫がおさまらない。
サミットで安倍首相とプーチン氏がどのような接点を持ったかは知らないが、
北方領土の解決を持ち出せば従来ならはなから「ニエット」というはずの
プーチン氏が、かりに応じるそぶりを見せたとするならば、それは経済協力が
欲しいがためだと断じてよかろう。
ロシアという国がどんな国で、国益のためにはどんな詐術もいとわない
という歴史だけはわかっていても、いざ外交という交渉の場になると、
故橋本氏ならずもころりとだまされてしまうのは、うまい儲け話にのせられて
大損をするのと同様、相手は役者が一枚も二枚も上だからである。
狐を思わせるプーチン氏に対し、安倍首相は狸の顔をしていない。
これでは木の葉をつかまされるだけである。
東海新報 URLリンク(www.tohkaishimpo.com)