07/06/08 16:07:37
来日中の台湾前総統、李登輝氏(84)は7日、都内のホテルで「2007年とその後の世界情勢」と
題する講演を行った。そのなかで李氏は中国の国有商業銀行の不良債権率は6割に達するとの
見方を示し、「07年の中国政治の焦点は、深刻な国内経済問題となり、胡錦濤政権は人事統制で
経済をコントロールしようとするだろう」と指摘した。また、米国の影響力が相対的に低下する中で
「中国とロシアがより侵略的な行動に出るだろう」と述べ、米国中心の国際秩序に中露が
挑戦するとの見方も示した。
≪安倍政権を評価≫
この日の講演には約1300人が集まった。中国、ロシア以外にも日本や台湾、韓国やタイ、
ベトナム、中東などまで突っ込んだ情勢分析を行った。講演で李氏は、安部晋三政権の日本が
「世界第2の経済体にふさわしい政治的地位と影響力を追求し、普通の国家に転換しようとしている」
との表現で、間接的に安部政権の方針を支持した。5月30日の来日後、世界情勢に関して、
李氏がここまで踏み込んだ発言を行ったのは初めて。
中国情勢について李氏は、「(1997年の)アジア通貨危機を専門家が見抜けなかったように、
見せかけの高度経済成長にまどわされて、中国の経済危機の深刻さを正確に測ることができない」
と厳しく指摘した。
不良債権など金融危機に加え、都市と農村の格差が暴発的な動きとならないよう、「宇宙計画や
北京五輪、日本との歴史問題などに大衆の注意をそらす愚民政策の方針に転じている」と
中国の現状を分析した。「欧米からの対中投資は減少している」とも述べ、さらに対中進出意欲を
強めようとしている日本企業などに“警告”を発した。
>>1-5あたりに続く