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韓国の情緒の研究(2007/6/4 ) 鈴置高史 編集委員
「韓国では外交も気分次第なのか」。
こんな質問を受けた。前回の「韓国の反米気分」(2007年5月9日付参照)を読んだ人からだ。
それに対しては「納得しにくいだろうが、事実そうなのだ」と答えるしかない。
■対米FTAでは焼身、「EU」は無関心
ここ一月ほどでも、「情緒が韓国の外交を左右する」具体的事例をいくつか観測できた。
まずは対米。4月初めに米国とのFTA交渉に合意した後、韓国政府は直ちにEUとの
FTA交渉に入った。興味深いことに「EU」に関しては反対運動は一切起きていない。
対米交渉への反対が、実は感情的な反米運動の一環に過ぎなかったことがこれで分かる。
米国との交渉では当初から激しい反対デモが繰り広げられ、火炎瓶が飛び交い、
抗議の焼身自殺者まで出た。合意後の今も「批准しない」と宣言し、反対の姿勢を貫く
大物議員が多数いる。
一方、米国とのFTA以上に韓国経済には影響が大きいとされるのに、EUの場合は反対の声を
上げる議員も農民団体も自称「市民団体」も、あるいは映画監督ら文化人もいない。
「FTA反対」で盛り上がった多くの韓国人にとって反対運動は、経済的利益を守る運動と
いうよりも「米国への反感を公開の席で叫べるチャンス」だったのだろう。
反対運動の背後で、北朝鮮の影響下にある親北団体が糸を引いていた、という人もいる。
それが正しいなら、北朝鮮は韓国人の情緒的な行動原理を利用しつくした、といえる。(中略)
■盛り上がった南北直通列車
(中略)
■「気分が悪い」
どの国でも、民主国家である限り、外交が国民感情に左右されるのは普通だ。
だが、これほどまでに「情緒外交」を展開する国はやはり特異だ。
外国を知りそれらと比較できる韓国の知識人が、まず教えてくれる「特異である理由」は
「外交に限らず、そもそも韓国では論理よりも情緒で物事が決まるから」。確かに、
韓国人同士が議論するのを横で聞いていても、しばしば「気分」が優先されることに気がつく。
韓国語で多用される言い方のひとつに、日本語に直訳すれば「気分が悪い」という言い方がある。
日本語でも同じ言い方はあるが、韓国では議論の過程でこの言葉が主張の理由として使われ、
かつ決定打となることが多い。
それを外国にも適用し、韓国の政治家や外交官もごく当たり前のように国際交渉の場で
「わが国民の情緒が納得しない」という「論理」を展開する。何人かの韓国人から
「わが国には憲法よりも上位に、国民の情緒に合わないものは排除できるという
『国民情緒法』なるものがある」と嘆くのを聞いた。
ちなみに、この冗談を日本人に受け売りしたら「韓国に、そんな法体系が存在するとは
知らなかった。勉強不測だった」と本気にされてしまったことがある。それほどに、
韓国人は情緒的に見られているのだろう。
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(NIKKEI NET)
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