07/06/04 05:21:54
長さ7.3メートル、幅はわずか1.8メートル。屋根もない小さな木造船で、家族とみられる
4人は海を越えてきた。
青森県の深浦港に入ると、「北朝鮮から、自由を求めて来た」と話したという。言葉の通りだ
とすれば、北朝鮮の東北部から5日あまりかけて、900キロもの距離を渡ってきたことに
なる。
深浦港にいた釣り人や漁師たちは「よくもあんな粗末な船で」と驚いた。高い波が来れば、
途中の日本海で転覆しかねない古びた小舟。持ち物などから、北朝鮮の工作員でないこと
は、ほぼ間違いなさそうだ。だとすれば、追いつめられた家族が、本当に命がけで海を渡っ
たということか。北朝鮮での厳しい生活の一端がうかがえる。
4人はいま、青森県内の警察署に保護され、担当者らが事情を聴いている。
脱北した人が、直接日本に着いた例は87年の「ズ・ダン号」以来と見られる。今回の漂着に
日本がどう対応するのか、各国も注目しているだろう。
まずは4人の健康状態などに十分気を配ったうえで、詳しい経緯や希望をじっくりと確かめて
ほしい。そのうえで、人道的に対処していくことが必要だ。
日本では昨年6月、北朝鮮人権侵害対処法が施行された。その中に、こんなくだりがある。
「脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする」
今回の出来事は、直接渡ってきた脱北者に対し、この法律にのっとって対処する最初の
事例になった。政府の適切な対応が求められている。
4人は「韓国に行くつもりだった」と話しているという。日本政府と韓国側とが調整を進めた
結果、どうやら本人たちの望みはかないそうだ。 脱北者への対応には、こうした近隣各国
との連携が欠かせない。
北朝鮮から周辺国への脱北者は、90年代の後半から増え続けている。食糧難が伝えら
れるなかで、今後、さらに広がる可能性もある。
今度のことで日本と朝鮮半島が、小舟で渡れるほどに近いということを、改めて実感させ
られた。 この先、脱北者とどう向き合っていけばいいか。受け入れ態勢や枠組みなどを、
普段から周辺各国で話し合っておくことが大切だ。沿岸警備のあり方にも新たな課題が
できた。
もう一つ、目を向けておきたいことがある。
今回のケースとは事情が異なるが、日本にはすでに100人を超す脱北者が暮らしている。
大半が、かつての帰還事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人と日本人配偶者、その家族たちだ。
脱北者を支援するNGOなどが力を貸しているものの、日本語教育や就職などを含め、生活
支援の手だては乏しい。 この人たちをどう支えるかについても考えたい。
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ソース:朝日新聞
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