07/06/03 18:30:33
「母は働きづめで、このところ元気がありません」。先月18日、支援団体「退去強制手続きと子どもの権利ネットワーク」(大阪市中央区)が主催した府内に住む外国人児童・生徒の声を聞く集会で、長男は訴えた。
法務省によると、不法滞在などで、05年の1年間に国外へ強制退去されたのは3万3520人。
長男の父のように、国内に3カ所ある入管センターへは05年末現在、818人が収容されていた。
一方、不法入国・滞在の外国人に、本人の希望を受け特別に在留を許可する「在留特別許可」が出た
のは、05年1年間で1万834人。だが、許可の是非は法務大臣の裁量に委ねられ、明確な基準は
ない。今年2月には、10年以上不法残留したイラン籍一家のうち、短大進学を決めた長女だけが許可
されるなど、家族が明暗を分けるケースも出ている。
同ネットの草加道常さんは八尾市の一家の提訴について「日本で教育を受けるという子どもたちの
権利を全面に押し出したうえ、子どもたちの成長には保護者が不可欠であると強調したい」と話し、
地元住民らが署名活動の準備を進めている。
■ ■
父からは毎毎日新聞 2007年6月3日
晩午後7時ごろ、八尾市の自宅へ電話がある。「今日は何をした?」「ご飯を食べたか?」。
家族を気遣うばかりで、収容先の苦労を聞いたことがない。
数カ月前にエステティシャンの資格を取り、府内のエステサロンで働く母は、父の収容以降、就業
時間を延長して深夜に帰る日が増えた。「子どもたちをずっと、日本で学ばせてやりたい」。夕食は母が
朝に用意したおかずをレンジで温め、子どもたち2人で食べる。家族4人が収まる写真が掛かった
部屋に、夜、テレビの音だけがむなしく響いた。
(終わり)