07/06/01 21:29:35
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「戦後日本の魅力は謙虚さにある」と言うイギリス外交官の言葉を聞いたのはいつだったか。日本の
外交も以前は謙虚だったか分からない。戦後日本の外交は「受動的だ」というやじを受けながらも他
者の意見を聞いて説教せず、慎重で真剣に行動しようと思った。ところが、こんな雰囲気が最近変わ
ったようだ。
人権外交に先立って信頼から築くと「アジア太平洋の民主主義国連合」という「米国-日本-オースト
ラリア-インド首脳・外交長官会合」構想がそうだ。
安倍晋三総理は先月、日米首脳会談でこの構想を出したが同席したコンドリーザ・ライス国務長官の
反応は冷たかった。いたずらに中国を刺激する恐れがあるというのが理由だった。米国防省のように
これを支持する動きもあるが、支持派の一人は「インドが提唱したら分からないが、日本がすれば良
い事にはならない」と私に打ち明けた。
日本の外交は中国を牽制しようとする意図が潜んでいると解釈されるからだ。自民党内には「価値観
外交を推進する議員の会」も誕生した。彼らは「自由、民主、人権、法の支配」の恩恵をこうむるこ
とができない国や国民に「日本がその理念実現のための主体的な役割をする」ことを価値観外交と定
義した。このようなことが重要な価値目標であることは明らかだ。
しかし、今日のサウジアラビアやイランにどのように「価値観外交」を適用するのか。最近、訪日し
た米有力シンクタンクの外交専門家は「ネオコンのままごとのようなことを日本がどうして急にやり
出すのか」と言いながら首を傾けた。アメリカがイラクの泥沼で迷い、国際政治でアメリカの一国支
配が揺らぐ中、「アメリカの同盟国」という一枚のカードだけ振りまわす外交は以前より危ない。
多くの場合、地域紛争でアメリカの軍事力は答えにならない。それでもアメリカに歩調を合わせよう
とすれば、同盟維持のリスクが高くなる。北朝鮮問題でもアメリカは(日本もそうだが)確かな解答が
ないようだ。やはり先月、日米首脳会談の際、安倍総理が「拉致問題解決をテロ支援国家指定解除の
前提条件にしてくれ」と要請するとライス長官は「米国民が直接被害を受けたのではないので、前提
条件にはできない」と言った。その後、安倍総理とジョージ・ブッシュ米大統領の電話会談では拉致
問題から日米間の歩調に変わりがないことを確認したとしても‘ライス・ショック’は容易に消えな
いようだ。
ライス長官が日本軍慰安婦問題に対する総理の発言に不信感を持つようになった点がここに作用した
かも知れない。日米同盟は20世紀が残した日本の最大外交資産で21世紀にも日本外交の基盤になるだ
ろう。ただ同盟という戦略的利益をどこでどのように共有するかどうかを、お互いに常に点検して確
認する時だけ持続できる。今、その戦略的利益がちょうど東アジアの「地域安定力」形成ではないか。
アメリカも世界全域に同時に安定力を供給するには力があまる。中東と中央アジア、東北アジアで地
域内大国が各々成す地域安定力が切実に必要だ。北朝鮮の核を放棄させるために中国に六者会談開催
を要求したこともその典型的な例だ。韓中を刺激する言動を慎む時、東アジアでは日本がそんな役割
りをしてくれることをアメリカは内心願っているだろう。日本もそのような役割をする位の「意気」
を持ちたがる。
しかし、日本は中国、韓国と深い信頼関係を重ねて来ることができなかった。韓中両国は日米同盟を
地域安定力とは思っても、日本をそんな役割をする存在とは見ていない。肩に力を入れた「価値観外
交」は隣国との信頼構築にも、日本の地域安定力形成にも役に立たない。日本が正々堂々と地域安定
力として機能するためには、日米同盟を確かに維持しながらも、アメリカから自立して独りよがりな
主観や言動を慎んで隣国から「日本それ自体」として信頼を受けるべきである。
ソース:東亜日報(韓国語)[船橋コラム]日外交、肩力抜きなさい
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