07/05/28 14:24:58
5月28日付・黄砂
何だか鼻やのどの調子がおかしいと感じているなら、黄砂が原因の可能性がある。
土、日曜と黄砂が県内を舞っていた。観測されたのは四月初め以来のことだ。
中国の砂漠地帯で冬の間に乾燥した砂粒が、春の偏西風に乗って韓国や日本に
やってくる。夏になると収まるのは、草木が伸びて砂が舞い上がりにくくなるから。
黄砂が「春の風物詩」と言われるゆえんだ。
日本で観測される砂粒は千分の数ミリ程度の大きさだが、発生源に近いほど大きな
粒が舞い量も多くなる。中国内陸部では嵐のようになり、農作物や家畜の被害どころか
死者が出ることもあるというから、決して砂のように軽い存在ではない。
さらに韓国では、中国の工場や自動車から出た有害物質が砂粒に付着しているとして、
政府が外出を控えるよう呼び掛けている。仮に環境基準を超えるほどの有害物質でないと
しても、のどや鼻に影響するのは間違いなさそうだ。
北東アジア一帯に悪影響を与える黄砂。これを中国のせいにしてしまうのはたやすい。
砂漠を拡大させ、処理が不十分な有害物質をまきちらす。そんな野放図な開発に原因が
あるのだと非難して解決するのなら、それもいいだろう。
しかし元をたどれば、そうした開発には大抵日本もかかわっている。今着ている
ウールの服が草原を減らしたのかもしれないし、百円ショップで買った物が汚れた
煙を生み出したのかもしれない。無関係だとは決して言い切れない。
日本も三十年ほど前までは、今の中国と同じような発展の道筋をたどっていた。
そうした経験を中国で生かすことが、明日のわが身を守ることになるだろう。
四国新聞
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