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【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は25日に公表した2007年版の
「中国の軍事力に関する年次報告書」で、中国が「核兵器の先制不使用方針」の
見直しに踏み切る可能性があるとの見方を初めて示した。
中国は従来の核戦略に変更はないとの主張を繰り返しているが、
中国の空海軍力の近代化に対し、米国が疑念を強めていることが浮き彫りとなった。
「中国は先制攻撃戦略を進めているか」。こんな題名で報告書に設けられた一節では、
中国が精密誘導爆弾を搭載したスホイ30戦闘爆撃機、長距離航行が可能な潜水艦、
無人機などの調達を進めていると指摘。周辺地域での紛争に備え、
先制攻撃を仕掛ける体制を整備しつつあるとの見方を紹介した。
さらに報告書は、「東風(DF)31」や「巨浪(JL)2」といった弾道ミサイル、
「晋」級原子力潜水艦の開発・配備によって、
中国が「より残存性、柔軟性の高い核戦力」を保持しつつあると分析。
こうした核戦力増強を通じ、中国がいかなる紛争においても
核兵器を使用しないとするこれまでの方針を変更し、
核の先制使用を含む「新たな選択肢」の構築を図っているかもしれないとの認識を示した。
中国は公式には核兵器を先制使用しない立場を取っているが、
2005年に中国人民解放軍の朱成虎・国防大学教授が、
米国が台湾に関する紛争に軍事介入した場合は中国は米国に核攻撃する用意があると語るなど、
軍人や民間人がしばしば核の先制使用を排除すべきでないとの考えを表明している。
報告書は、中国が最近になって、1993年策定とされる
非公開の軍事戦略に関する「ガイドライン」の一部を改訂した可能性についても言及した。
(2007年5月26日23時35分 読売新聞)
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