07/05/24 14:07:23
ドラえもんを中国のアニメ進出モデルに―小学館マルチメディア局国際ライツ業務室室長らに聞く
上海で行った上映の記者発表会
中国でテレビ放映され、人気のアニメ「ドラえもん」が中国国内で初めて劇場公開される。
7月20日から上映が予定されているのは「ドラえもん のび太の恐竜2006」で、
日本のアニメ映画が中国全土で配給されるのは初めてという。ドラえもん映画の版権を管理する
小学館のマルチメディア局国際ライツ業務室福田孝室長と同室の桑村敦氏に話を聞いた。
―どの程度の規模で展開していくのか
まずは217館で公開し、徐々に手を広げていく。ただ、最終的な興行実態の把握については
現地に依頼する形になっており、ブラックボックスだ。館数をカウントするのも必ず映画館という
ハコが存在するわけではなく、日本のようにはいかない。車で映写機を持ち込み、白い壁で上映する
ようなケースも考えられる。中国の感覚でどこまでカウントするのかは、実のところ未知数。
なるべく把握はしたいし、実現するべく依頼はしているが、やや心配なところもある。
―公開までの道のりは
(省略)
―日本アニメ映画の中国進出は採算が合わないという見方もあるようだが
貨幣価値の違いもあるし、映画のライセンスに高い値段を付けられない。率直なところあまり儲からない
ビジネスで、人件費などを考慮すると今回の映画はマイナス収支かもしれない。さらに国家間のトラブル
などが飛び火してご破算になる可能性もあるし、単純にビジネスとして考えると、上映先に中国を選ぶのは
得策ではなく、リスキーだ。お金を稼ごうとだけ考えるのであれば、米国などほかの進出先はある。
ただ、既に中国で出版物を刊行しているし、関連会社の手がけるキャラクターグッズもある。
加えて、ドラえもんの知名度を中国でさらに広げていきたいのが大きい。
―中国ならではの商習慣で苦労した点は
中国以外の諸外国で映画を上映してきた実績があるので、当初は同様の条件で、輸入元である中国電影集団
公司と契約を結ぼうとした。ところがいくつもの箇所で「この条件は外してほしい。そんなことは絶対
あり得ない」と指摘された。中国は契約書というシステムに不慣れな国。契約書は2ページという世界で、
トラブルの処理方法もあえて触れないのが通例。我々が提示した内容について、条件が多すぎるとして
難色を示したのである。「いや万一の時、お互いのための契約書ですよ」と諭すと「信用していないのか」
というプリミティブな話になってしまう。先方からすると「そんな事態を心配することがおかしい」という
スタンスで、「様々なケースを想定するのが契約書」という原則論が通用せず、議論が堂々めぐりになって
しまう。しかし、こちらにとっては映画興行を成立させることが第一。結果的に、かなり「泣く」形になった。
他国のものとは大きく異なる契約内容になり、条項も半分くらいまでに削らざるをえなかった。
契約書の文化や重要性の認識も、経済などの発展とともに徐々に変わっていくのではないかと思っている。
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