07/05/23 15:58:29
先日、5年ぶりに韓国へ行ってきました。1980年代半ばから韓国へは何度も取材に行きましたが、
このところのソウルはとても輝いているように感じますね。経済大国の首都というイメージが、
すっかり定着した感じです。韓国では、個人消費はもう一つ盛り上がっていないようですが、
部品や電子機器、造船などの輸出が順調で、今年は4.5%の経済成長が見込まれています。
ところで、韓国で1人当たりのGDPが一番高い地域は、どこだかご存知ですか? 政治、経済、技術、
芸能の中心地であるソウルだと思われる方が多いでしょうが、実は違うのです。韓国で一番の
「富裕層」地域は、首都から飛行機で1時間位離れた、南東の海岸に面している産業都市、
ウルサンだったのです。
先週金曜日、ウルサン市副市長のキム・ヅギュム氏(51)に取材させていただきました。事務所に
伺うと、いかにも政治家の典型的な事務所という感じで、写真がいっぱい張ってあります。
その中に、副市長の趣味が反映されているのでしょう、盆栽など豪華な植物が多く飾られていました。
経済、投資、観光産業など、広くご意見を聞かせていただきましたが、その中で彼は「ここの
教育レベルが国内で一番、治安の面でも一番」と語っていました。全国で計算した一人当たりGDPが
2万ドルなのに対し、ウルサンは何と3万ドルなのだとか。世界中の市長が羨むような豊かさです。
取材でクタクタになった私たちは仕事を終えホテルに帰りたかったのですが、副市長はそれを
許してくれそうにありません。ちょうどその日は「クジラ祭り」なるイベントがあり、日本の
下関市市長や市民たちを招いた晩餐会が予定されていたのです。そこに私たちも参加したのですが、
ダンスあり、演奏ありの華やかな会で、さすが韓国一裕福な都市だと感心したものです。その、
豊かさの源泉となっているのが、同市にあるヒュンダイ自動車。同社はここ5年間で、自動車産業の
歴史を書き換えるほどの進歩を遂げたのです。猛スピードで品質を引き上げ、あれよあれよという間に
出荷台数で世界第6位となる世界企業になったのです。今年末には、レクサスやBMWなどに対抗するため、
独自の高級車種も投入する予定なのだとか。まさに日の出の勢いです。
けれど、全てが順調だとは言えません。その朝、ウルサンにある同社の第3工場に案内されたのですが、
日本メーカーの最先端工場の様子をよく知っている私たちからすれば、目を疑うような光景がそこには
あったのです。ラインで働いている従業員は、ちょこっと動いて部品を付けると、すぐ椅子に座って
しまう。そして、しばらくするとまた部品を付け、また休憩。5分働いて5分休む、といったパターンの
作業も見かけました。休みの間は携帯電話で遊んだりしていて、かなり暇そうです。正社員だけでなく、
派遣社員も同じ。労働組合の力が強いお陰で休憩時間が確保され、しかも「自分の決えられた作業以外は、
何もするべきではない」というルールが厳格に守られているのです。【以下>>2以降に続く】
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