07/05/21 04:56:27
偽食品、中国深刻 キクラゲ・粉ミルク……
中国産の食品や薬品を口にしても大丈夫なのか。安全性が改めて内外で問われている。
中米パナマでかぜ薬を服用した患者が死亡、北米ではペットフードで犬や猫が死に、
それぞれ毒性物質が検出された原料が、中国企業のつくったものだったからだ。
中国では富裕層を中心に「食の安心」を求める声が高まっている。中国から農産物を
多く輸入する日本にとってもひとごとではない。
●輸出の鈍化に危機感
北京市東部の市場では、麻袋に入った中国・東北地方産キクラゲが所狭しと
並べられている。500グラムで10元(約150円)から30元(約450円)と開きがある。
「安いのは薬で加工しているんだよ」。市場にキクラゲを卸す男性が声を潜めた。
別種のきのこに硫酸マグネシウムや鉄くずなどを混ぜた薬品をつけ、本物そっくりに
見せているという。
中国での報道によると、06年3月に山西省で約100キロ、01年にも北京で約2800キロ、
四川省成都で約3000キロの偽キクラゲが見つかった。工業用インクで着色したものも
あった。食べた人は下痢や嘔吐(おうと)を催した。
03年に安徽省であった偽粉ミルク事件は乳児が犠牲になった。中国メディアによると、
229人の乳児が栄養障害になり、うち12人が死亡した。でんぷんに香料を混ぜた
粗悪品だった。
中国政府も手をこまぬいているわけではない。
パナマ向けの薬用甘味料グリセリンと、米国などに輸出されたペットフード原料から
毒性物質が検出された際、当局はソーセージなど12種類の食品を緊急調査。
今月8日には、安全だとする結果を公表した。
中国農業省は17日、農産物の安全性を高めるための専門委員会を設置した。
新華社通信によると、同省の牛盾次官は初会合で、農産物の品質を監督する仕組みが
不十分だと指摘。「この3年間、輸出が鈍化している」と中国産品の信頼低下に
危機感を示した。
●富裕層は高級・安心志向
山東省莱陽の農場に20日朝、乳牛のうなり声が響いた。ニュージーランドから
ジャンボ機で太平洋を越えたホルスタイン約400頭。アサヒビール、住友化学、
伊藤忠商事の3社が昨年5月に設立した合弁会社が「安心して飲める牛乳」づくりを
目指し、厳選した血統書つきの乳牛たちだ。
日本の農業技術を駆使したモデル事業を中国で始めた同社は今年初め、減農薬の
農産物出荷を開始。イチゴを同省・青島の高級スーパーで販売したところ、一般の
10倍前後という高値でも完売が続いているという。顧客は、高くても安心して
口にできる食品を買いたいという富裕層だ。
「1万8000円分をまとめて買って頂いたり、100箱ほしいと注文が入ったりしたこともある。
どちらも中国人のお客様です」と同社の乾祐哉総経理(社長)。将来は自社ブランドの
牛乳販売を目指す。
中国の都市部では1人あたりの牛乳消費量が95年から05年の間に約4倍に伸びた。
一方、乳牛への抗生物質やホルモン剤の過剰投与が問題化。牛乳に限らず農産物への
消費者の不安は根深い。ただ、低所得層は安い食品を口にせざるを得ない。
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朝日新聞 URLリンク(www.asahi.com)