07/05/17 23:43:26
<トオル孤喊>「就職率96%」東大教授に聞いてみた
日本大学卒業者の就職率が96%を超え、主要企業が5年連続で売上げ記録を更新しているという
ニュースを聞き、私は直ちに日本社会の鋭い評論家として定評がある東京大学倫理学科の黒住真
教授に電話をかけた。運が良く授業を終えて出る彼を廊下でつかまえた。
--大卒者就職率最高水準、企業と労動市場の活況、この記録は事実か?
「事実だ。1990年代から2000年代初めまで日本経済は成長を止まっていた。でも2000年代の
初めから経済が活性化して伸びも回復した。そのたゆまぬ社会変化がそんな数値に表れているのだ。」
--どうしてそんな変化が起きたか。
「全般的社会変化の情況を3、4方面で分析してみる。第一に大学卒業生就職率の増加にいちばん
影響を及ぼしたのは私の年代と同じ戦争直後生まれの団塊の世代が人口比例で見た場合、いちばん
多い割合を占めているが、その人々の定年退職が始まって席がたくさん空いたという事実だ。2番目は
大学と企業の体制が公から私へ大々的な構造的移行をしたからだ。昔の官学中心、人文学中心の
雰囲気が消え、一種の経営会社のように大学が変わってしまった。企業も位階中心の秩序が消えて
上部での情報、経営独占の体制が崩れ、決定権が共有される多様なポストができた。第3に
インターネット使用によるメディア革命も一要因と見られる。第4、就職というが、その就職形態が昔とは
違う多様な様相がある。一言で公共性が消えマーケット原理の支配する社会になっているのだ」
--そんな変化は望ましいものなのか。
「日本の貨幤5千円券には新渡戸稲造(1862~1933)の肖像があり、1万円券には福澤諭吉
(1834~1901)の顔があったが、数年前、新渡戸は消え、福澤は相変らず残っている。つまり、
現在、日本を動かす者が福澤系列の人々ということを象徴するものだ。福澤が作った慶応大学
出身たちが日本を掌握しているが、福澤は脱亜論者(脱亜論者:日本はアジアに属しない)だったし、
彼の後裔たちは脱アジア、親米国、親欧州的性向を持つ。そして徹底的に中央集権的経済官僚
メンタリティーにおぼれている。新渡戸は日本初のクエーカー教徒で、理想主義者だった。日本の
理想主義が消えていることをむしろ経済学者たちは懸念している。好むのは票計算ばかりする
政治家たちだ」
--何が懸念されるか。
「過去の自民党にはそれでも社会の『中間集団』を意識する分配論者たちが多かった。しかし今の
自民党は『乱暴な』自民党だ。社会の少数の急成長が多数を食うという確固たる信念がある。大学生
たちの就職先は増えているものの、実際、中間層の人たちの景気は不振で、農村は崩壊されている。
自殺や殺人犯罪はますます増加しているし、社会の元気な中産層の倫理が解体されている。いちばん
懸念されるのは、経済成長を言い訳にした国際感覚の喪失だ。平和憲法を廃止して国粋主義的軍国主義
で行くということであり、国家至上主義的理念が幅を利かせている。私が教える東京大学の学生の中に
日本が韓国を植民地化したという事実をまったく知らない学生もいる。日本の経済成長を韓国人が
喜ばなければならないことはあまりなさそうだ」
--それでも就職がうまくいけばいいのではないか。
「大学生たちの幸せ指数が高くなったのではない。若者たちがグローバル化した問題意識を持たなければ
ならないのに、就職がうまくいっているという現在の生活データだけで生きていってもそんな国には希望がない」
--日本の問題は何か?
「公共精神で後字の“共”、共に生きていかなければならないというその精神が消えていることだ」
トオル金容沃(キム・ヨンオク)セミョン大学教授
2007.05.17 13:05:40
URLリンク(japanese.joins.com)