07/05/17 00:07:59
伝統より…過激な進化 米国
「ジャパニーズ・ラザニア」「ゴジラ」「カブキ」。巻きずしのメニューの数々だ。人気は「ジャパニーズ・
ラザニア」だ。米国では定番になったアボカドを巻いた「カリフォルニア・ロール」にやや辛い
マヨネーズを加え、軽くオーブンで焼く。
調理法を聞いただけでめまいがするが、味は悪くない。ただし、これはラザニアではないし、
スシでもない。
「意見が合わないので日本人のシェフには辞めてもらった」。ワシントン近郊のバージニア州アレク
サンドリアで自称・創作日本料理の店「山里」を経営するスティーブ・ユンさん(48)は自慢のメニ
ューを前にこう語った。
ワシントンエリアは日本料理とはちょっと呼びにくい「なんちゃって和食」の宝庫だ。
韓国系のユンさんは五年前にこの店を開いた。開店時にはワシントン市内の有名すし店から日本人
調理人を引き抜いて、板場を任せたが、しばらくして店の方向性をめぐって、いさかいが絶えなく
なった。
この地域の客層は九割が白人。濃い味を好む白人に合わせたメニューを考案するようユンさんは
要求した。「ジャパニーズ・ラザニア」はこの日本人調理人のアイデアだが、過激になっていくユンさん
の求めに日本人料理人は「こんなのは和食じゃない」と反発。店を去っていったという。
「この地域では開店後、八割の店がつぶれるんです。ビジネスを優先するのは当たり前でしょ。米国
人はミクスチャー(複合的)料理を好むんです。伝統的な和食ではだめなんです」。ユンさんは言い切る。
でも、キムチにマヨネーズをかけて食べたら、ちょっと嫌じゃない? 「いいえ、なにか問題ありま
すか」。現在、板場に立つのはタイ人。「山里」のメニューはさらに“進化”する。(ワシントン・小栗
康之、写真も)
伝統よりビジネス。「変な和食」に胸を張るスティーブ・ユンさん=米バージニア州アレクサンドリアで
URLリンク(www.chunichi.co.jp)
(終わり)